[原子力産業新聞] 2000年4月27日 第2035号 <4面> |
[原子力委員会] コンパクトITER、詳細設計へ原子力委核融合会議、国内評価報告とりまとめ原子力委員会の核融合会議(座長・井上信幸京大教授)は6日、各極の評価に供されることになった国際熱核融合実験炉(ITER)のコンパクト炉「ITER-FEAT(イーター・フィート)概要設計報告書」に対し、「技術目標等を満足しており、詳細設計に進むベースになり得る」などとする国内評価報告書を取りまとめた。 「ITER-FEAT概要設計報告書」は、ITER建設の低コスト化を図るために設定された新技術ガイドラインに基き作成されたもので、今後の最終設計に向けたベースとなる。同会議のITER/EDA技術部会で、これについて技術的観点からの国内評価が行われていた。 評価を行うに当たっては、@技術目標を満たしているかAこれまでの工学R&Dや構築されつつあるデータベースに基づいた設計かB詳細設計に向けて留意すべき点は何か−に視点が置かれた。その結果、「ITER-FEAT」の技術目標のプラズマ性能に関しては、概ね達成できる見通しが得られつつあるとの判断だが、エネルギー増倍率5以上の定常運転については、現状での信頼性は不十分としている。工学性能については各極ホームチームで行われているR&Dの成果を取り入れ、積算中性子照射量の条件を満たすとともに、プラズマ性能や運転シナリオとも整合していると氷解している。また、安全設計、コスト、スケジュールいずれについても、おおよそ妥当としているが、技術目標実現の確度を落とさないようにしつつ、一層のコスト削減を目指すことを求めている。加えて、詳細設計に向けて留意すべき事項として、物理・工学分野、その他についてより信頼性、成立性を高めるよう勧告し、特にコストに関しては、低コスト化が図られる前の段階の設計「ITER-FDR」(約1兆円)から、50%の削減を目指すよう求めている。 終わりに、「ITER-FDR」と「ITER-FEAT」のガイドラインの相違による、計画と装置設計に現れる相違を明確にすることが必要などとも提言し、対応状況を核融合会議に報告するよう勧告している。
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