[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <1面>

[日米両政府] 二国間協力強化へ

次世代炉にも関心

4月30日から米国を訪問していた中曽根弘文科学技術庁長官は3日、ビル・リチャードソン米国エネルギー省(DOE)長官との共同声明を発表し、ロシアの核兵器解体プルトニウムを燃やすための高速炉BN-600の炉心改造などへの協力など、核不拡散、原子力研究開発、安全・緊急時対策、核融合、基礎科学研究の5分野における二国間協力を強化していくことを確認した。

共同声明によると、核不拡散の分野ではロシアのプルトニウム処分協力の他に日米両者でプル燃料を破壊しつつ効率的に使用するとされるガスタービン式高温ガス炉(GT-MHR)に関して研究開発を推進することとした。原子力研究開発については、30年以上にわたる協力を更に広げ、使用済み燃料管理のための新技術や次世代の原子力プラント設計および燃料サイクル技術等にも関心を共有するとしている。また米国は日本の核燃料サイクルに関し、引き続き同意を与えることを確約した。

さらに緊急時対策の向上に向けた法律的・制度的な面での協力を拡大していくこと、旧ソ連製炉の安全性の改善、カザフスタンのBN-350炉の安全な廃炉措置とチェルノブイリ原子力発電所の垣久的な閉鎖に向けた技術的な可能性についても議論したとしている。核融合エネルギー研究については、リチャードソン長官は両国の核融合研究協力の20周年を記念し、レビューするための会議を東京で開催することについて歓迎するとともに、中曽根長官は米国がITER計画に再び参加するのであれば歓迎すると表明した。

基礎科学研究の分野に関しては高エネルギー物理、たんぱく質の構造・機能解析、核破砕中性子源、ナノテクノロジーなどについて共通の関心を表明し、日本で建設中のRIビームファクトリーを利用した共同研究を促進する機会について議論した。


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