[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <1面>

[長期計画] 第6分科会、報告書案取りまとめ

新しい視点で展開を

原子力委員会の長期計画策定会議第6分科会(座長・下山俊次日本原子力発電最高顧問、田中直毅21世紀政策研究所理事長)は11日、報告書案「新しい視点に立った国際的展開」を取りまとめた。

報告書案は、@新しい視点に立った国際的展開A我が国の核燃料サイクル政策の推進に関する取組B核不拡散の国際的課題に関する取組C原子力安全と研究開発等に関する国際協力D地域別課題への取組−の5章から構成。

まず最初の章では、原子力を取り巻く経済・エネルギー・環境問題、核不拡散・軍縮をめぐる動向について述べ、その上で、人類全般への影響の大きさから、原子力は国際的視野に立って取り組むべき技術であるから、21世紀に向けてわが国の果たす役割について、理念と具体的政策を明確にすべきとの基本認識を示している。

続く「我が国の核燃料サイクル政策の推進に関する取組」では、わが国の原子力平和利用堅持の理念と体制の世界発信を掲げ、国内の原子力開発利用政策・状況についての一層の透明性を向上させ、国際核不拡散政策の推進、地球規模でのエネ問題の解決に積極的に貢献することを基本に@原子力平和利用を堅持する我が国の国益A国際的な管理システムによる透明性の確保B我が国の原子力平和利用イニシアティブを主張。

「原子力安全と研究開発等に関する国際協力」では、世界の原子力安全に係わる諸問題を敏感に受け止め、解決に積極的に協力し安全性向上に貢献し、リーダーシップを発揮していくことが重要との認識を示し、安全確保については国際基準等の形での具体化、国際的支援については近隣アジア地域等との安全規制体制整備などでの協力の重要性をうたっている。

最後の「地域別課題への取組」では、まずアジア諸国を挙げ、同地域で将来的に原子力発電開発が進展するとともに、医学・農業等での非発電利用が社会経済的な恩恵をもたらすという期待を掲げる一方、協力に際しては各国の文化・政治・社会・産業等の多種多様性を十分考慮する必要を指摘している。

分科会報告書は今月末にも最終版が確定する見込みだ。


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