[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <3面>

[米国] 国内燃料加工製造施設の安全操業を確認

JCO事故で再検証

米原子力エネルギー協会(NEI)は8日、「米国のウラン燃料加工施設と製造施設は安全に操業されている」と結論づけた独自の調査報告書を公表した。

この調査は昨年9月に東海村JCO施設で発生した臨界事故を契機に、米国で同様の燃料施設を操業する企業の依頼によりNEIが独自に調査チームをコーディネートして実施したもの。施設の実際の評価作業にはNEIのJ.ブロンズ総裁特別補佐官のほか、独立コンサルタントで米国原子力規制委員会(NRC)の核物質安全・保障措置担当理事でもあるR.ベルネロ氏、および核燃料事業の世界で長い経験を持つJ.クラークJAI社副社長があたった。

ブロンズ氏はこの日、NRCに対しても過去7か月間の調査結果を集約した「米国の家訓燃料施設における臨界安全評価と緊急時対応」を説明し、「米国で操業されている10の核燃料施設では、東海村で起きた事故を防止するような工学的な保障措置手順が適切に取られている」と明言した。同氏はまた、米国の核燃料産業では「事故は起こりうるもの」という前提の元で施設が操業されており、このような認識が施設内における安全操業上の慣行や継続して用心を怠らないための健全な基盤となっている点を強調した。同氏はさらに、「これらの施設の従業員達は安全上の理由で作業をストップする権限があることも理解している」と指摘。米国ではすべてのウラン燃料加工・製造施設がNRCの規制と基準に従っており、これらが臨界事故を防ぐ基本であるとも明言した。

NEIとしてはこのほかに、東海村の事故では臨界の可能性について、特にU235が18.8%含まれるウランの取り扱いについて、作業員達が十分な訓練を受けていなかったと指摘。しかし、米国の施設においては「従業員は個別の作業につく前に十分な経験を積んでおり、作業員の訓練プログラムを改善する機会も多数存在する」ことが今回の報告書で明らかになったと強調した。

今回、審査を受けたのはABBコンバッション・エンジニアリング社やCOGEMAらが所有する五つの低濃縮ウラン加工工場のほか、BWXテクノロジーズ社などの操業による二つの高濃縮ウラン施設、米ウラン濃縮会社(USEC)の二つのガス拡散ウラン濃縮工場、およびハネウェル社のウラン転換施設となっている。


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