[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <5面> |
[電事連] SPFと円卓会合強まる日本への期待日本と南太平洋フォーラム(SPF)に属する16か国・地域との首脳会議「太平洋・島サミット」が4月22日、宮崎市で開催され、引き続き24日には、電気事業連合会が東京都内でSPFと有識者との円卓会合を「環境とエネルギー」をテーマに開いた。この席上で遠藤哲也原子力委員は、原子力発電の円滑な推進のため、国際間の関連物質の海上輸送に対する理解などを訴えた。 同サミットは2000年の節目に当たり、7月の九州・沖縄サミットにも備えて、太平洋に位置する島国が直面する問題について互いに意見交換をし、わが国との未来へ向けたパートナーシップを育てていくのが目的。参加国はSPF加盟のオーストラリア、フィジー、ニュージーランドなど。ここでは、対太平洋外交を展開していく方針を具体化する「宮崎イニシアティブ」の他、気候変動問題などについて共通認識を持つ「太平洋環境声明」が発表されるなど成果があった。 一方、続いて行われた電事連主催の円卓会合で遠藤氏は、「南太平洋に愛着を持つ一人」としてプレゼンテーションをした。その中で、21世紀へ向けて世界が解決を迫られている、経済発展、エネ安定供給、環境保全といういわゆる「3E」のトリレンマに対して、わが国としては省エネに加え、再生可能エネ、原子力等のベストミックスで対処しようとしていることを述べた。また、化石燃料の多用で地球温暖化が進むと、海面の上昇で南太平洋諸国が影響を受けることも考えられるので、日本を含め先進諸国は温室効果ガスを排出しないクリーンな原子力を、一層進める必要があることを訴えた。さらに、遠藤氏は太平洋を共有する隣人として、@生活水準向上に向けた原子力平和利用(幅広い放射線利用、IAEA加盟など)Aエネ分野についての意見交換B原子力損害賠償制度の確立−を提案した。 25日の原子力委で、遠藤氏は今回のSPFとの会合に出て、太平洋の島国の日本へかける期待は大きく、また豊富な魚介類を有することから「海洋大国」といえるなどとの所感を述べた。さらに、SPFの国々は仏核実験の観光産業への影響、核燃料物質の海上輸送の安全確保などに強い関心を持っており、特に輸送については、他のルートの可能性検討や事故時の補償対策を求める声もあるという。これを受けて他の委員からは、太平洋諸国が先進国の化石燃料利用の犠牲になっていることを長期的に考えていく必要などの意見が出された。
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