[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <5面>

[東芝] 新キャラバンカー活動開始

「原子力」理解に一役

東芝は10年以上前から原子力発電や放射線について一般市民らに理解してもらうため「キャラバンカー」(移動展示車)を製作し、電力会社らのイベントに参加しPA活動を続けているが、このほど展示機能を大幅にアップした第3代目となるキャラバンカーを完成させ運用を開始した。

東芝は、子どもから大人まで、誰にでも分かりやすく放射線・放射能について知ることができるように配慮した放射線計測機器の移動展示車として1988年に初代キャラバンカーの運行をスタート。90年4月には、チェルノブイリ事故後の輸入食品の放射能汚染をきっかけとして、食品放射能の測定装置を搭載した2代目キャラバンカーを投入し、その後の10年間で延べ750日の出動、走行距離は11万kmを超えた。今回の3代目はその豊富な経験をベースに機能を追加したもの。

新キャラバンカーでは、自然放射能で主に筋肉に含まれるカリウム40を選択的に測定する簡易型ホールホディカウンタを新たに搭載した。これは測定を通して体内にも自然放射能があることや、自分自身も放射線を発していることなど放射能・放射線が自分自身と無縁でないことを理解してもらうのが狙いだ。

また、映像装置として42インチのプラズマディスプレイ装置を搭載し、DVD、パソコンなど最新のAV装置によるプレゼンテーションを行うことができるようになった。さらに、身近にある試料を用いて、一般的なGM管式サーベイメータなどで放射線測定を実演したり、放射線測定を自ら体験して、自然界に存在する放射線を体感することも可能だ。一方、原子力エネルギー利用については、150分の1原子力プラント模型、25分の1原子炉模型、短尺燃料集合体模型、短尺制御棒模型、原子力発電原理模型などを搭載している。東芝では、キャラバンカー活動を通じて、数人から30人程度を対象として、放射線と放射能の違い、健康影響、コントロールの仕方、防ぎ方などを説明することによって、放射能・放射線等の知識が「市民の常識」となるよう活動していきたいとしている。また同社では従来からの電力会社等のイベント参加に加え、独自に近隣の都市部のほか、原子力施設立地点などを巡回して、一般市民や小・中・高校の児童・生徒を対象に活動していくことを予定している。

問い合わせ先は、東芝・原子力広報担当(電話045−770−2098)。


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