[原子力産業新聞] 2000年5月25日 第2039号 <5面>

[ISO/TC85東京会合] バシュビッツ議長に聞く

重要性をます国際規格

 産業界などにISO9000シリーズ(品質保証)、14000シリーズ(環境管理)などの国際規格を発行している国際標準化機構(ISO)の原子力専門委員会(TC85、R.バシュビッツ議長)の会合が8日から12日にかけて、東京大学・山上会館で開催された。同会合はほぼ2年毎に開かれているもので、日本での開催は初。

 現在、同専門委には@第2分科委員会(SC2・放射線防護)A第5分科委員会(SC5・核燃料技術)B第6分科委員会(SC6・原子力技術)−の三つの分科委員会があるが、今回会合をもったのは同委員会とともに第2と第5の二つの分科委員会。また会合にはこれに関連するワーキンググループ会合も同時に開かれ、ISOやIAEAなどの国際機関をはじめ世界各国の専門家ら約100名が参加した。日本で開催された理由について、バシュビッツ議長は「第一に原子力の近未来はアジア諸国であり、第二には日本はアジアのみならず世界の原子力のリーダーであると考えたからだ」と語った。

 会合終了後、バシュビッツ議長は本紙インタビューに対して次のように語った。

− ◇ −

−日本開催の成果は。

バシュビッツ議長
 我々は日本が開催してくれたことを喜んでいる。日本から多くの専門家が参加し、彼らは規格を作成する作業、特に新規案件の素案作成に参画することを約束してくれた。ISO規約では新規案件については、賛成が3分の2多数であるほか、5か国が積極的に参加することを約束することをうたっているので、これは非常に喜ばしいことだ。

−原子力における国際規格にとって大切なことは。

バシュビッツ議長
 それは規格がうまく機能するようにすることだ。規格を使用するについては、出来るだけ討議・調査・ファイルなどの作業を低減できるようなやり方でなければならない。公衆に対して国際的な規格に従って仕事を行っているのだと言えることが大切で、このようにすればあらゆる国々でパブリックアクセプタンスが改善されるものと思う。

−国際規格というものをど考えるか。

バシュビッツ議長
 いつも言うのだが、規格というものはそれを全ての国々が合意した、あるいは合意することが期待されるものだけを作成すべきだと思う。だが実際は中々そうではない。簡単なことだが、ある国が他国より厳しい安全規制をしている場合、その国に国際規格の作成を願っても無理だろう。一方で全ての安全当局からの要求事項が類似のものであれば国際規格を作成することは可能だ。要するに他国がどう考えているかを知ることが大切で、要求事項が同じようであれば一つのものに纏めるよう努力することには価値があろう。

−世界の他の規格に対するISO規格の独自性と協調はどうなっているか。

バシュビッツ議長
ISOはIEC(国際電気標準会議)もそうだが、世界の国々が作っている規格だ。それに対してASTM(米国材料試験協会)などは事実上、世界中で使用されている規格だ。ASTMは世界の専門家を集めた組織だが、やはり米国人が圧倒的多数で、最終決定は米国人の裁量に任せることになり国際規格と言いがたいところがあり、最近ではその規格をISO規格として認知してもらいたいという要求もある。


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