[原子力産業新聞] 2000年6月1日 第2040号 <1面> |
[独原産] 初の「日本セッション」で日本側から8名発表全体会合で秋元氏講演ドイツ原子力産業会議と同原子力学会が主催する「年次大会」が5月23日から3日間、約1,000名の原子力関係者の参加の下、ドイツのボン市で開催された。大会2日目の24日午前には「日本セッション」が開かれ、日本側から8編の発表が行われた。これは今年の独年次大会から毎回国別の特別セッションが設けられることになり、その最初の国として日本が選ばれたもの。また、前日の全体会合では、日本の民間を代表して、三菱マテリアルの秋元勇巳社長が講演を行った。 ドイツではヨーロッパ全域にわたる電力自由化の波を受けて電力価格が30から60%も低減する中で、原子力発電が良好な運転実績をあげ、最も安いベースロード電源となっている。しかし社会民主党と緑の党の連立政権が脱原発の政策を掲げ、燃料サイクル・バックエンドを中心として、将来計画が極めて不透明になっている。一方、連立政権の脱原発政策も英仏や国内の民間産業界の反発に遭って、法改正などの具体的な施策はいまだ実現していない。このため、年次大会では、原子力開発をめぐる諸情勢や開発の成果を発表するに留まらず、鋭い政府批判も行われた。 仏コジェマ社のローベルジョン社長や、ヘッセン州のローランド・コッホ首相の講演に引き続いて壇上に立った秋元社長は、今後の成長が見込まれるアジア地域、あるいは地球温暖化防止といった側面における原子力の役割を延べ、原子力が単なる「つなぎ」のエネルギーではなく、さまざまな潜在能力を持った技術であり、その開発に関係者がますます努力をしなければならないことなど、原子力の重要性を強調した。 翌24日の「日本セッション」は並行セッションの一つとして行われ、村田貴司科学技術庁核燃料課長、殿塚猷一電事連専務理事、松村誠東芝電力システム主席技監、牧原義明三菱重工業原子力技術センター主管、鈴木光雄日本原燃常務、鈴木篤之東大教授、平澤真一郎JNCもんじゅ建設所長、斎藤伸三原研副理事長が個別のテーマでそれぞれ発表した。セッションには約100人が参加し、JCO事故の影響とその後の措置や新型炉開発をめぐって活発な議論が展開された。 なお、独年次大会に先立ち、5月18日から20日までハノーバー市において第14回日独核エネルギー専門家会議が開催され、日本側から秋元団長をはじめ上記の専門家など、ドイツ側からカールスルーエ研究所のマンフレッド・ポップ所長他22名が参加した。
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