[原子力産業新聞] 2000年6月1日 第2040号 <1面>

[長期計画] 第3分科会、報告書とりまとめ

「FBRサイクル開発は必要」

 原子力委員会・長期計画策定会議の第3分科会(座長・鈴木篤之氏、西澤潤一氏)は5月29日、第10回会合を東京都内で開催し、「高速増殖炉(FBR)及び関連する核燃料サイクル技術の研究開発のあり方と将来展開−技術的選択肢の確保を目指して」と題する報告書をまとめた。

 報告書は、我が国にとって非化石燃料源の重要な技術的選択肢の一つである「原子力」の開発にあたって、とりわけ省資源と核不拡散を図っていく観点から「FBRサイクル技術の開発に取り組むことが必要」との認識を改めて示すとともに、その技術を実証する場として中核的な役割を「『もんじゅ』が果すことが重要」として、「もんじゅ」の早期運転再開を求めた。

 報告書はFBRサイクル技術は資源節約型エネルギー技術と位置づけており、その研究開発には著大な資金と長期の年月を必要とする故に開発を断念した諸外国もあると指摘しつつも、我が国は日本独自の構想と判断の下に国が主体となって長期的観点からその研究開発に取り組むことが必要との考えを示している。

 またFBR開発の進め方については、高速炉によるマイナーアクチニドの燃焼技術を視野に入れた先進的リサイクル技術の開発が有効だと指摘。そのため湿式・乾式再処理プロセス、合金体化合物燃料、集中型対一体型サイクルなどの技術の検討、鉛冷却やガス冷却等の方式、高転換炉や高温ガス炉等の他の形式の新型炉なども炉型選択についても考えていく必要があるとしている。

 しかし、FBRの実用化時期については電力事業者の判断に委ねられ、柔軟に対応していくとの方針の下に「長期的・継続的に取り組む」とする表現にとどまっている。その際、研究開発にあたっては経済性の追求、企業間の自由な競争と参入などに配慮するよう求めている。

 一方、「もんじゅ」については、早期運転再開を行い、発電プラントとしての信頼性を実証し、その運転実績を通じてナトリウム取扱技術を確立する必要性をうたい、この目的のほかにも「もんじゅ」の活用を図るべきか否かについては「今後の『もんじゅ』を含めた研究開発の成果などを踏まえて判断することが適当」としている。

 FBRサイクル技術の実用化に向けた研究開発にあたっては、国、電力、メーカーなどで役割分担していくこと、人材確保を図り、長寿命放射性物質の分離変換技術の研究開発を推進し、さらに一層の国際協力の推進などを挙げるとともに、「もんじゅ」は運転・保守データを得て、FBRサイクル技術を実証する場として中核的役割を果すことが重要なこと、実用化に向けた技術的可能性を評価する原型炉としての目的を達成することが必要不可欠とも述べている。

今回、報告書で今後のFBRの開発の必要性が再確認され、「もんじゅ」の基本的な役割も明確にされたことから、「もんじゅ」運転再開に向けた動きも本格化してくるもとの見られる。


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