[原子力産業新聞] 2000年6月1日 第2040号 <3面>

[英国] ブリティッシュ・エナジー社、99年決算で収益減少

原発の計画外停止など影響

 英国でマグノックス炉を除く原子力発電所の株を所有しているブリティッシュ・エナジー(BE)社は5月10日、99会計年度決算で税引き前利益が19%減少するなど「残念な結果」になったことを明らかにした。

 同社のJ.ロブ会長は収益が下がった理由として、電力料金の急激な引下げと二つの原子力発電所で計画外停止が長引いたことを挙げている。税引き前利益は前年度の2億9,800万ポンドから2億4,100万ポンド(414億5,000万円)になったほか、税引き後利益も2億100万ポンドから1億6,100万ポンド(277億円)に後退。一株あたりの利益も15%減の24.9ペンスに下がっており、BE社では株主への年度末配当を8ペンスに半減させている。また、年間の取り引き高は前年実績から900万ポンド減って20億5,800万ポンド(約3,540億円)に留まった。

 原子力による総発電電力量は630億kWhで、これも前年実績から61億kWh(9%分)の減少となった。これに伴い原子力による売上げ高も前年実績から2億1,800万ポンド下回り、16億2,100万ポンドという結果になっている。主な原因はヘイシャムB原子力発電所の2基(各67万kW、AGR)でタービンが故障し、34億kWh分の発電ロスがでたほか、ダンジネスB発電所(各57万5,000kW、AGR2基)でも1号機の蒸気配管溶接部に生じた傷が2基両方の停止期間を長引かせ、36億kWhの□スが出たためと説明している。ヘイシャムの2基は現在フル出力に戻ったほか、ダンジネス1号機は5月上旬に運転再開。同2号機は今年9月に戦列に復帰する予定だ。

 一方、BE社は実績が良好だった原子力発電所の存在にも言及しており、ハートルプール、トーネスの両発電所で年間発電電力最が過去最高だったことや、ハンターストン発電所でも停止期間が最短を記録したことを明らかにした。また、総出力が下がったにも拘わらず、単基あたりの運転コストがkWhあたり1.99ペンスと昨年並みを維持した点を強調している。

 原子力による電力の平均販売価格はkWhあたり2.57ペンスで、昨年より0.07ペンス安くなった。BE社によると電力料金は今後も下がる見通しで、0.1ペンスの値下げが税引き前利益で7,000万ポンドの減収につながるとの見解を示している。


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