[原子力産業新聞] 2000年6月1日 第2040号 <3面> |
[米国] 産業界、電子線照射牛肉を販売へ照射解禁で続々実施に米国の先端技術企業であるタイタン・シュアビーム社は5月16日、ミネソタ州に本部を置く食肉加工業者のヒュイスケン・ミート社と協力して、電子線で滅菌処理した牛肉のハンバーガーを米国で初めて州都ミネアポリス近郊で販売することになったと発表した。 これは昨年12月に米国農務省から牛肉を含む生肉、冷凍肉および肉加工品への放射線照射殺菌方法に関する最終実施規則案が公表された後、今年2月22日から産業界での施行が開始されたことによるもの。シュアビーム社はサンディエゴを本拠地とするタイタン社の子会社で、同社独自の開発による電子線滅菌システムを用いて食物の味や食感を変えることなく有害なバクテリアを瞬時に殺し、製品の店頭での棚寿命を延ばすことが可能になったと強調。このシステムではエネルギー源として電子レンジと同様に普通の電気を利用しており、加工・包装した後の食品に電子線を照射する方式だという。 米国ではこれまで、大腸菌やリステリア菌、サルモネラ菌などを原因とする食中毒で、若年層や老人を中心に年間5,000人以上もの死者を出していた。食品の「農場から食卓に至るまで」の安全性確立を目指す米国政府が2月に食肉への放射線滅菌を解禁したのを契機に、このほかにもウォルマート社(アーカンソー州)やウィン・ディキシー社(フロリダ州)、シュナック・マーケット社(ミズーリ州)など米国の大手スーパーマーケットが3月から放射線照射食肉の店頭でのテスト販売を開始している。
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