[原子力産業新聞] 2000年6月1日 第2040号 <4面>

[PSA手法] 定期検査への応用を議論

原発月間記念報告会、配管溶接など評価例

 原子力発電月間記念報告会が5月22日、東京・港区のニッショーホールで開催された。この報告会は、通産省・資源エネルギー庁の原子力発電安全月間期間中活動の一環として行われたもので、エネ庁、発電技術検査協会、電力中央研究所、原子力発電技術機構、原子力安全システム研究所、NSネットから、各種報告が行われた。

 その中で、報告「確率論的安全評価手法(PSA)の定期検査への応用について」を行った原子力安全システム研究所技術システム研究所の入江隆主席研究員は、定検時の配管溶接部への応用を例に、同評価手法の紹介をした。

 確率論的安全評価手法とは、機器の故障の発生頻度とその際の影響度の積で表現されるリスクを定量化すること。この手法を用いてそれぞれの設備や操作の重要性を定量的に評価し、その重要度に応じて検査・保守・管理の充実を図ることにより、安全性の向上が可能とされている。入江氏は同評価手法の概要を説明した後、リスクを考慮した配管溶接部の安全上重要度評価手順や配管破損による炉心損傷頻度評価の例を解説。

 またASMEセクションXIによる検査では、753か所の検査を実施したのに対して炉心損傷頻度のカバー率は44%だったものが、確立論的評価手法を用いた際には119か所の検査で98%をカバーできたという、米国・ミルストン原子力発電所における実例を紹介し、「設備や操作の重要性を定量的に評価して、重要性に応じて検査・保守・管理を充実すると、発電所の安全性は向上できる」と、確立論的安全評価手法の有効性を訴えた。


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