[原子力産業新聞] 2000年6月8日 第2041号 <3面>

[コジェマ] 組織を大幅に再編成

11の事業を4極に区分

 フランス核燃料公社(COGEMA)のアンヌ・ローヴェルジョン会長兼最高経営責任者(CEO)は5月24日、同グループ内で大規模な組織再編を行い、6月1日から新体制でスタートすると発表した。

 記者会見でのローヴェルジョン会長の説明によると、まずグループの活動は産業ごとに@採掘A化学B濃縮C燃料D再処理EエンジニアリングF輸送G原子力計測Hコンサルティングおよび情報システムI機械J浄化−の11ユニットに区分けする。これらは@採掘および化学A濃縮B燃料、再処理およびエンジニアリングCサービス−の四つの「極」でグループ化され、それぞれの責任者として執行委員会(COMEX)の委員を据えるというもの。COMEXは7か月前に幹部人事の移動を行った際に創設されたもので、ローヴェルジョン会長を座長に同グループのすべての活動戦略と政策の決定を担当している。

 また、@産業参入事業A主要な技術プロジェクトB商業活動−の三つの機能分野それぞれにも責任者を配属。これらの責任者達のほかにCOMEXの委員、各事業ユニットおよび施設や子会社の責任者を加えて橘成される運営委員会も創設された。安全性や品質保証を担当する部門の活動強化のため、安全検査チームも設けられている。

 このような新体制により、ローヴェルジョン会長は「COGEMAが市場の動きや顧客のニーズに一層迅速かつ適切に対応することが可能になる」と強調した。

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 なお、ローヴェルジョン会長は組織再編を発表した翌日、リベラシオン紙のインタビューに応え、昨年同公社の会長職に就任してからの1年間を振り返り、次のように述べている。

−もし、あなたに就職時期を迎えた子供がいたとしたら原子力産業界に入ることを勧めるか?

会長 現在の状況を冷静に分析してみてほしい。エネルギー価格は上昇し、特に途上国を考慮に入れれば需要も増加の一途。地球の温暖化が科学的に証明され、化石燃料はどれも温室効果を増長している。理論的には興味深い再生利用可能エネルギーも実際の需要を賄えるほどの大規模発電が難しいとなれば、今後は温室効果という点から原子力が今までとは違った目で見られていくと考えざるを得ない。新たな傾向というのはいつも米国で表われ始めるものだが、あちらでの原子力発電所の取引価格は高くなる一方だし、今後数年の間に我々は「原子力と温室効果のどちらを取るか?」という重大な選択を迫られると思う。

−御社の主要事業の一つである再処理に今でも将来性はあると思うか?

会長 再処理のどの部分を見たとしても、使用済み燃料の毒性と容量の両方を減らすことができるという点から環境上のメリットがあることは明白だ。私達が今、環境を守る努力をしなかったら一体誰がやると言うのか?子供達や曾孫達に押しつけるのではなく、それぞれの世代がベストを尽くさなくてはならない。再処理はまた、使用済み燃料が潜在的に含むエネルギーを取り出し、MOX燃料の製造によってリサイクルすることができる。

−(再処理に関連して)ドイツとの関係はどうなっているか?

会長 過去に3回、ラアーグ再処理工揚で処理後の高レベル放射性廃棄物(HLW)をドイツに返還したが、97年に予定されていた4回目の返還は実施が遅れている。シュレーダー政権は年内の実施を確約しており、具体的には10月から12月の間に返還輸送することになると思う。既存の契約に関しては時聞的な余裕をもたせてあるので何ら問題はなく、さらなる交渉を年内に計画中だ。

−日本についてはどうか?MOX燃料の製造注文を止める可能性があるのでは?

会長 それは絶対にない。東海村での臨界事故やBNFLの燃料データ改ざん問題で大衆の不安が噴出したため、日本の電力会社ではこうした不安が収まるのを待って、MOX燃料の装荷を9か月ほど遅らせることに決めたようだ。しかし、彼らの注文や当社の生産規模が下方修正されることはない。

−コジェマはフラマトム社の株主となったが、欧州加圧水型炉(EPR)に将来性はあるか?

会長 これからも数多くの政治的、戦略的な傷害を乗りこえていかねばならないので現時点ではっきりしたことは言えない。ただし、何にも増して忘れてはならないのは「選ぶのは顧客の方」、ということ。言い換えれば、魅力的なオファーを提示するのは製造業者の側にかかっているということだ。

−コジェマが事業の多様化を検討しているというのは事実か?

会長 当分は現在の事業を継続していくつもりだが、ある意味で停滞期に来ているのも事実。幸い財政備蓄に余裕があるので、第二のキャリアを模索しているところだ。


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