[原子力産業新聞] 2000年6月15日 第2042号 <4面> |
[IHI] 水蒸気改質法で米企業と技術提携石川島播磨重工業(IHI)は8日、低レベル放射性廃棄物処理事業で米国最大手のGTSデュラテック(本社・メリーランド州コロンビア)と、放射性廃棄物を減容、安定化するスチームリフォーム(水蒸気改質法)に関するライセンス契約を締結したと発表した。契約期間は今年5月から10年間。 現在日本では、原子力発電所や核燃料関連施設などで発生する各種の放射性廃棄物が多量に保管されており、これらの処理、処分の制度的枠組みの検討が行政機関を中心に進められている。同社ではこれまで、高レベル放射性廃棄物のガラス固化技術を中心に事業を展開してきたが、今回の技術提携により、国内の特に有機物を含む全ての低レベル放射性廃棄物の処理を対象に、GTSデュラテックの持つ放射性廃棄物処理技術のノウハウを生かしていく。 まずは今年度中に、横浜事業所内に試験設備を導入し、各種の処理データを取得するとともに、スチームリフォームをコア技術とした低レベル放射性廃棄物やウラン廃棄物の処理設備の販売を推進。今後は廃案物処理分野についても事業展開を図っていく。 GTSデュラテック社が開発したスチームリフォーム技術は、ガス化装置において放射性廃棄物に含まれる有機物を過熱水蒸気との接触で蒸発、ガス化させ、無害化装置で高温で二酸化炭素等に分解処理した後、大気に放出するもの。この際、放射性物質は酸化物の残滓(ざんし)として乾燥状態で回収される。放射性物質が化学的に安定な性状となると同時に、廃棄物の重量と体積を減少させて回収できるのが特徴。焼却処理に比べ、水蒸気分解を利用することから分解処理後のガス発生量が少なく、水蒸気を用いた還元反応のためダイオキシンやNOx、SOx等の有害物質の生成が少ない。また、負圧運転を行うことから放射性物質の閉じ込め性もよい。 GTSデュラテック社は、米国の低レベル放射性廃棄物、有害廃棄物および混合廃棄物を自社処理施設へ輸送し、滅容、安定化を行った後、処分場や発生元に輸送するといった一貫した処理事業を展開している。
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