[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <1面>

[原産会議] 新会長に西澤潤一氏

副会長に金井氏、森嶌氏、専務理事には宅間氏

 日本原子力産業会議は19日、第49回通常総会を開催し、任期満了に伴う役員改選を行い、向坊隆会長の後任に西澤潤一岩手県立大学長を選任した。副会長には金井務日立製作所会長、森嶌昭夫地球環境戦略研究機関理事長を新たに選任した。辞任した向坊前会長と近藤次郎前副会長は特別顧問(理事)についた。また宅間正夫常務理事は専務理事に、新理事の町末男氏は常務理事を務める。西澤新会長は選任後の挨拶の中で、すでに電力の3割を占めている原子力発電の役割は重いと述べ、地球環境問題に対応していくためにも原子カエネルギーをうまく使いこなしていくことが必須だと強調した。

 退任した向坊前会長は「健康上の理由でわがままを聞いてもらった。西澤氏は電気工学が専門だか、原子力についても造詣が深く、頼りにして いる。これからも顧問として近藤前副会長と協力していきたい」と述べ、新会長に期待を寄せた。副会長人事は近藤次郎氏、村田浩氏(4月死去)、綿森力氏の3氏が辞任し、新任の金井氏、森嶌氏を加え、再任の安部浩平氏、飯島宗一氏、小林庄一郎氏、渡辺文夫氏、森一久氏(常任)の7人体制となった。

 また新任(または交替)の理事に選任されたのは泉誠二北海道電力会長、磯村巌名古屋商工会議所会頭、児玉勝臣発電設備技術検査協会理事長、坂本吉弘エネ研理事長、田畑米穂東大名誉教授、西澤潤一氏、西室泰三電工会会長、堀憲明商船三井会長、町末男国際原子力機関事務局次長、森嶌昭夫氏、宮原賢次住友商事社長、安武史郎日商岩井社長、石塚昶雄原産会議事務局次長の13名。町氏は常務理事を努める。なお、常任監事は山田圭蔵北陸電力会長、谷口一郎三菱電機社長、評議員会議長には稲葉興作日本商工会議所会頭・石川島播磨重工業会長、政策会議座長に平岩外四東電相談役、財務委員会委員長は岩佐瑞夫東電相談役が引き続き留任で了承された。

 総会では、森副会長から1999年度業務報告、収支決算並びに2000年度事業計画、予算案についての説明が行われ、承認された。 来賓として挨拶した中曽根弘文科学技術庁長官は、JCO事故をきっかけとして重大事故の再発防止に向けた対応策に取り組んできたが、これを貴重な経験として将来の原子力開発に努めていくことが責務だと強調。また地球環境問題、エネセキュリティなどの観点から原子力は重要であり、安全実績を積み重ね、透明性や双方向の対話などを進め、国民の信頼回復に努めていくことが重要だと述べた。

 また藤冨正晴通産省資源エネルギー庁審議官も原子力防災対策や高レベル放射性廃棄物処分方策への取組み、総合エネルギー調査会での審議の状況等を説明しつつ、3Eの目標達成に向け原子力の利用を進めていくことが重要だと指摘した。

 一方、会長として最後の挨拶を行った向坊氏は、JCO事故の重大性を直視し、関係者それぞれが真摯に自らを省みることが求められるとともに、原子力エネルギーをいかに活用し、人類社会、地球環境への貢献を果たすか、「原点に立ち戻ってその功罪を見極め、新たな千年の出発点としなければならない」との考えを述べた。さらにアジア近隣諸国への協力について、「安全文化の醸成を前提として我が国がこれまで培った原子力技術とその経験を広く役立てていくことが、重要な責務と認識し、広範な分野での協力体制を強化していくことが重要だ」として、積極的な取組みの必要性を強調した。

西澤潤一氏 (にしさわ・じゅんいち)1948年東北大工学部卒、62年同大教授(電気通信研究所)、83年同大電気通信研究所所長、90年同大総長、98年岩手県立大学長、宮城県出身、73歳。


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