[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <2面> |
[原子力防災] 原子力災害対策法が施行21か所にオフサイトセンター東海村・JCO臨界事故を受けて、わが国の原子力防災対策を抜本的に強化するために昨年12月に制定された「原子力災害対策特別措置法」が16日、施行された。同法は、わか国初の臨界事故の教訓などを踏まえて、事故発生の可能性は否定できないとの認識のもと、従来までは原子力災害が起きた場合には助言・指導を行うにとどまっていた国の役割を、事故発生時には内閣総理大臣が緊急事体宣言を行うほか、直接指導を行うように改めたのが主なポイント。施行に伴い、科学技術庁や通産省は原子力防災専門官などを任命し、具体的対応を図った。 平常時には地域における原子力防災の拠点として機能し、事故時には現地災害対策本部が設置され、国と地元自治体ほか関係機関が一体となって、迅速かつ適切な対応を行うための施設「オフサイトセンター」の設置や、原子力防災専門官の配置、通報や防災業務計画の策定などを規定し、緊急時対応体制の強化が図られている、なお同法の施行に会わせ、科学技術庁および通産省・資源エネルギー庁は同日、全国の原子力発電所および燃料加工会社などといった原子力施設のある自治体に、オフサイトセンター計21か所(科技庁分8か所、通産分15か所。一部重複)を暫定指定した。 一方、原子力発電所を特つ電力9社に日本原子力発電を加えた10社も、施設ごとの原子力事業者防災計画を地元自治体と協議を経て作成し、同法の施行に合わせて16日に通産大臣へ提出した。各計画では原子力防災管理者の選任のほか、オフサイトセンターへの防災要員派遣、防災訓練の充実などを明記し、事業者の責任・義務を明確にしている。 科技庁は15日、原子力災害特別措置法の施行に伴い、同庁所管の原子力施設を有する府県事務所に配置する「原子力防災専門官」と「原子力保安検査官」に対し、辞令の交付と中曽根弘文長官からの訓示を行い、国・自治体・事業者等、関係機関との連携を図った防災体制を築くよう呼びかけ、各所に送り出した。 配置されるのは、青森、茨城、神奈川、福井、大阪、岡山の各府県にある、6か所(両者併せて4名)、茨城(同8名)、神奈川北(同2名)、神奈川南(同2名)、大阪(同2名)、敦賀(同4名)、上斎原(同2名)の各原子力安全管理事務所。辞令交付後、中曽根長官は「地域住民の方々に安心してもらえるよう、原子力防災体制の最前線で役目を果たして欲しい」と述べ、これからの活躍に期待した。 今回の新法施行を受けて松浦祥次郎原子力安全委員長は16日、わが国の原子力防災体制が強化されたことは意義深いとするとともに、関係機関から任命・派遣される専門官らの訓練・研修を含めた体制の維持・強化に努めていくことが重要との談話を発表。 ◇
科技庁は15日、原災法による「原子炉の運転等のための施設を長期間にわたって使用する予定がない者」について、所外に著しい影響を与えることが想定しがたいことから、同法の対象除外として、武蔵工業大学原子力研究所など5者を指定した。これらについては、原災法上の義務はかからないが、施設の安全確保に関して年4回の保安規定遵守状況調査を含め、炉規法に基づく規制は行われる。 また16日には、国、自治体等が緊急時に一堂に会し情報の共有や指揮の調整を図り、一体となった防災対応を行うため、同法に規定された緊急事態応急対策拠点施設「オフサイトセンター」を暫定的に指定した。同センターは現在各道府県で検討中だが、本格的整備までの経過措置として、科技庁所管の施設を持つ府県は8か所が割り当てられた。
*=科技・通産で重複利用する施設
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