[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <3面> |
[欧州] EC副委員長、「原子力は不可欠」政府間エネ協議を計画欧州委員会(EC)の副委員長であるとともにエネルギー政策担当委員でもあるL.デパラシオ女史(元スペイン農相)は、15日付けのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙のインタビューでEU域内における原子力の重要性を強く訴えた。 ドイツで脱原子力政策が打ち出されていることに鑑み、デパラシオ女史はまず、「EU諸国が原子力なしで京都議定書のCO2排出抑制目標値を達成することはできない」と断言。もっと長期的な視野で将来のエネルギー供給を考えるべきだとの見地から「ECのみならず欧州議会と域内政府をも交えた、欧州の長期的なエネルギー見通しについて協議する場を年内にも設けたい」考えであることを明らかにした。 同女史は、EUが域内のエネルギー市場を統合しようとしている時、一国が取った政策はほかのすべての国に影響を及ぼすと指摘し、「今われわれに必要なことは20年、30年先の状況を分析すること。現在EUはすでに必要なエネルギーの半分近くを輸入に頼っており、今後20年以内にこの率が60〜70%まで増大すると見込まれている。その大部分を政情が不安定で脆い地域に依存することになるのだ」と警告した。 さらに、「ドイツの政策はともあれ、戦略的な理由から、また、京都議定書の目標値達成という意味からも、私は欧州諸国が原子力発電を放棄することはできないとはっきり申し上げたい」と言明。市場の統合されたEU域内で原子力を止めようとする国は、かなりの不足分を他国の原子力発電に頼らざるを得なくなるとの見解を示唆した。 同女史はまた、EUの調査によると現在のエネルギー・ミックスにおける原子力のシェアを維持するだけでも老朽炉のリプレースとして80基の原子炉建設が必要との結果が出ていると指摘。欧州が厳しい選択に迫られていることを強調した。
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