[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <4面>

[付属資料4] ゴアレーベン岩塩鉱の調査に関する連邦の声明

 連邦は、原子力法第9a条第3項により、放射性物質の最終処分施設を建設する法的責務を負っている。連邦政府はこの責務を有することを認めつつ、原子力から撤退するしないにかかわりなく、必要な措置を講じ、放射性廃棄物向けに不可欠となる最終処分場の容量を早めに利用できるようにする、と宣言する。

 最終処分場の母岩候補としては、岩塩層だけでなく、花崗岩や粘土岩など、他の岩盤地層も考慮に入れている。1979年に、ゴアレーベン岩塩鉱に最終処分を行う可能性を調べる決定がなされた。その点について今までに得られた地質学的知見は、基本的に次のとおりである。

 第1調査区域(EB1)を調べたところ、高レベル放射性廃棄物の最終処分向けに想定された旧岩塩層の広さが、当初の予想よりも大きいことがわかった。ただし、そのEB1も、予想される廃棄物量に十分対応できない。

 岩塩層の隆起率を分析によって確定したところ、非常に長い年代(100万年の規模)にどんな隆起が起きても、それにより生じる危険を考慮する必要はないと予想される。旧岩塩層からは、取りたてていうほどの溶解物の含有物も、またガス含有物も、凝縮物の含有物も見つからなかった。密閉された岩盤や、したがって岩塩によるバリア機能に関して今までに得られた知見が正しいことが確認された。それゆえ、ゴアレーベン岩塩鉱の有望性に関し、これまでに獲得された地質学的な調査結果を妨げるものは、たしかになにもない。

 しかし、連邦政府は、現在行われている国際的な議論をふまえ、最終処分場の必要性や適性基準を引き続き発展させるとともに、放射性廃棄物の最終処分概念を改訂しようと考えている。科学技術の水準や総合的なリスク評価も近年、飛躍的に改善されている。こういう事情が、ゴアレーベン岩塩鉱の継続調査の是非に影響している。

 わけても次の問題があり、疑問を裏付ける形になっている。

−密閉された岩塩の中で廃棄物の腐食や壊変により形成されるガスをどう制御するか、という点に特別な問題がある。

−国際的には、放射性廃棄物を再び回収できる手法が強く求められている。これに対し、今までの概念は、岩塩に密閉して封じ込めるというものである。

−粘土岩や花崗岩といった他の岩盤と比べ、岩塩が母岩として適切かどうかを、諸外国の知見に基づいて調査する必要がある。

−照射済燃料の直接処分に際して、長期的な観点から臨界(核分裂性物質の臨界集積)を避けるには、追加要件を定めてこれを充足する必要がありそうである。

−国際放射線防護委員会がまもなく勧告を公表するとみられるが、最終処分場に対して意図せざる人間の介入が行われた場合の放射線防護目標を初めて盛り込むものとなる。

 ゴアレーベン岩塩鉱をさらに調査しても、上記の問題を解明する上でなんら貢献しえない。したがって、ゴアレーベン岩塩鉱の調査を最低3年間、しかしどんなに長くとも10年間、中断し、上記の問題の解明を着実に行うこととした。

 この凍結期間を置いたからといって、最終処分場の立地サイトとしてのゴアレーベンを放棄することを意味しない。むしろ、概念上、安全上の問題を検討するあいだ、これら諸問題の解明に寄与することのない投資をいっさい行わないことのほうが重要である。

 連邦は、凍結期間中、ゴアレーベン・サイトを確保するために必要な措置を講じる。例えば、申請者としての連邦の地位を確保したり、第三者の干渉から計画を保全したりする上で必要な法的措置を講じる。連邦は、調査鉱山について申請された枠組み運営計画の10年延長を許可する上で必要な措置を講じる。連邦は、原子力法に基づく変更禁止令(原子力法第9g条に基づく法規命令)を発布して計画を保全する。


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