[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <4面>

[付属資料5] 原子力法改正の概要

1.基本的な新規定

1.1 本法の目的

・原子力の促進を目的とするという部分を削除する。

・電力の営業生産としての原子力利用を整然と終了し、その終了の時まで予定どおりの運転を確保することを目的とする。

1.2 新規原子力発電所の建設と運転のための許認可を禁止する。

1.3 安全性を中心とする原子力技術分野の研究を従来どおり自由とする。

2.現行の運転許可の期限設定

2.1 各原子力発電所が本法の付則で定めた予定発電量、または発電枠の譲渡により変更された発電量に到達したとき、各原子力発電所の出力運転に係わる権利は失効する。

2.2 運転期間の計算

・本法の付則で、各原子力発電所の具体的な発電量を設定する。

・エネルギー・コンセンサスの趣旨に基づき、各々の発電量の枠を他の発電所に譲る権利がある。

・目標の設定:古い発電所の発電枠を新しい発電所に譲る。

2.3 各電力会社は、1ヵ月の発電量を報告する義務を負う。

2.4 報告を受ける所轄官庁を連邦放射線防護庁とする。

3.安全要件

3.1 現行の法定安全基準を維持する。

3.2 定期安全検査を行う義務を法制化する。

4.バックエンド

4.1 原子力発電所に中間貯蔵施設を建設し利用する義務を課す。

4.2 当面の解決策について法的規定を設ける。

4.3 2005年7月1日以降、次のようにする。

・バックエンドを直接最終処分に限定する。

・「4.バックエンド」の(2)により、再処理を禁止する。

4.4 凍結期間中、ゴアレーベン・サイトを確保するために1998年原子力法改正により導入された「変更禁止令」を堅持する(第9g条の意味で)。

4.5 バックエンド準備証明を今回の取り決めの内容に合わせて改訂する。

5.1998年4月原子力法改正法の廃止

 1998年4月6日の原子力法改正法を廃止する。ただし、以下を除く。

・EU法を国内施行する規定

・変更禁止の規定(第9g条の意味で。上記4.4を参照)

6.填補準備金の引き上げ


[付属資料5]原子力法改正の概要についての注

1.上記4.1について 発電所の閉鎖を予定し、かつ「4.バックエンド」に関する取り決めを尊重して閉鎖時までサイト近くに中間貯蔵を行う必要性がない場合、この義務は見合わせられる。

2.上記4.2について 当事者は、この法的規定の必要性と内容について原則合意した。

3.上記4.5について 中間貯蔵を基本としてバックエンド準備証明を行うべし、というのが共通の理解である。

4.上記5について 第7条第2項第2号の廃止により、前政権が意図していた誤謬(ごびゅう)をただす役割だけが廃止される。


Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。
Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.