[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <5面> |
[ドイツ] 電力4社、共同プレスリリース全文支持可能な妥協と評価ドイツ連邦政府と主要電力4社が14日、原子力発電所の運転期間等について合意に達したことを受け、翌15日には4社連名による共同プレスリリースを発表し、今回の取り決めを電力として一定の評価をする見解を明らかにした。共同プレスリリース全文は次のとおり。 なお電力会社はEnBW、RWE、VEBA、VIAGの4社。 今後の原子力利用−連邦政府との妥協が成立EnBW、RWE、VEBA、VIAG各社(以下、電力会社と略)は、原子力発電所の継続運転に関する枠組み条件について、連邦政府と合意に達した。 協議により達せられた取り決めにより、連邦政府は今後、原子力発電所の運転とバックエンドを政治的な妨害により妨げないことを保証する。これを前提に、電力会社は、原子力発電所の運転年数を設定する手法を経営学的見地から支持できる。また、発電量の枠を他の発電所に譲れるので、電力会社は、経済的に意味ある発電所の利用を進める上で欠かせない柔軟性を得ることになる。それゆえ、電力会社は、今回の取り決めを、支持可能な妥協として評価するものである。電力会社は、これに匹敵する投資保護策がほかにあるとは考えていない。 妨害なき原子力発電所の運転が保証された連邦政府と電力会社は、個々の発電所を対象に、引き続き生産可能な発電量を設定した。この発電量の枠は、基本的に別の発電所に譲ることができる。ドイツのすべての原子力発電所をあわせ(ミュルハイム・ケールリッヒ原子力発電所を含む)、総発電量を2兆6,233億kWhとすることで合意した。これに対応する全運転年数を計算すると、高い設備利用率で運転した場合、32年間となる。RWE社は、ミュルハイム・ケールリッヒ原子力発電所の運転再開を断念し、またラインラント・プファルツ州を相手どって申立てている損害賠償請求を放棄する見返りに、当コンツェルンの他の発電所に譲ってよい1,072億5,000万kWh分の発電量の割り当てを得た。 合意された運転年数を対象に、連邦政府は、妨害なき原子力発電所の運転とバックエンドを保証する義務を負う。連邦政府は、経済面、税制面の枠組み条件を一方的に原子力利用側の負担とする形に変更しない。さらに連邦政府は、国際的に比べて高水準にあるドイツの原子力発電所の安全基準と、そこから生まれてきた安全思想を優れたものとして承認する。連邦政府は、この基準を変更するいかなる自発的措置も講じない。 争点を明確にするため、連邦首相付き官房長官を座長とする高級作業部会を設置する。 処理処分を確実に進める連邦政府は、原子力発電所のバックエンドを保証する。まず、使用済燃料の輸送を再開する。サイト近くの中間貯蔵施設が事実上利用できるようになるまで、使用済燃料の輸送を続ける。また、再処理契約を履行するため、今後5年間、使用済燃料の輸送を行う。 2つの最終処分場プロジェクトを維持する。コンラート最終処分場に関する最終確認決定を即時執行命令を付けずに発行する。 ゴルレーベン最終処分場プロジェクトではこれまで調査を行ってきたが、良い結果が出ている。連邦政府は、調査活動を3年から10年の間、中断するつもりである。このサイトは、変更禁止令を発布して保存する。 原子力法の改正により今回の取り決めを法制化する協議により達せられたこの取り決めは、さしあたり略式署名の状態にある。というのも、監査委員会の同意が保留されているからであり、さらに他の原子力発電所所有者の同意もまだ得られていない。 連邦政府は、原子力法改正法案を起草する。それにより、今回の取り決めを法制化することになっている。連邦内閣がこの法案を処理する前に、電力会社と連邦政府は法案の協議を行う。改正法案の基本的内容については、双方の了解が得られている。連邦政府が原子力発電所の新設を禁止し、またサイト近くに中間貯蔵施設を建設する旨を原子力法に盛り込もうとしているのを、電力会社は承知している。 エネルギー・コンセンサスは依然として政治の課題である電力会社の理解するところでは、原子力発電所の継続運転に関する今回の取り決めは、包括的なエネルギー・コンセンサスに代わりうるものではない。そのようなコンセンサスを再構築することは、依然として政治の課題である。これまで同様、電力会社は、経済的、エコロジー的な理由から、原子力エネルギーをエネルギー・ミックスの一角に留めたほうがよいと確信している。 それとは別に、ドイツの最終処分概念の調整をめぐり、政治的協調が必ず必要になってくる。それゆえ、電力会社は、この点に関して州との対話を試みるよう、連邦政府に切に要望しておく。
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