[原子力産業新聞] 2000年6月29日 第2044号 <2面>

[BNFL・MOXデータ問題] 関電、最終報告書をまとめ

再発防止は体制強化等で

 英国核燃料会社(BNFL)製の、関西電力高浜発電所3・4号機向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料検査データに一部不正があった問題で、関西電力は14日、不正発生の原因究明、再発防止対策などを総合約に取りまとめた最終報告書を、通産省、福井県、高浜町および京都府に提出した。

 報告書は、「当社の対応が十分でなく、これまで培ってきた当社の原子力発電に対する信頼を大きく損なったことを反省」と結言に掲げ、関電の品質管理に甘さがあったとの認識を示し、この教訓を今後の業務に活かすよう努力する決意が述べられている。

 問題の調査結果としては、まずペレット外径データ不正について、BNFL、元請けである三菱重工業、関電の品質保証、品質管理の不十分であった点を詳細に指摘。さらには燃料棒異物混入にも言及し、ネジとコンクリート片を混入させても、全ての燃料棒についてX線検査が行われることは周知の事実であることから、異物混入はデータ不正に関与した人物の社内調査混乱をねらったものであり、破壊工作ではないとの推測を示した。

 その上で再発防止について、関電は主体性を持って今後のMOX燃料の品質保証に当たることとし、元請け会社および海外MOX燃料メーカーとともに一体となった品質保証体制を構築する必要性を挙げている。また元請け会社に対しては海外製造メーカーに対して組織指導・監督が行えるような品質保証体制の構築などを求め、関電自身も@資格審査段階における元請け会社、MOX製造メーカーに対する監査の実施など「海外MOX燃料加工における品質保証・品質管理活動の強化」A社内に品質・安全委員会を設置するほか、原子燃料部門の組織強化を行うなど「社内体制の強化」−を行うとしている。

 今回の報告書発表に対して、通産省・資源エネルギー庁は「報告書を精査するとともに、電気事業審議会『BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会』における審議を踏まえ、関西電力に対し必要な対策を確実に指導していく」としている。


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