[原子力産業新聞] 2000年6月29日 第2044号 <3面> |
[ドイツ] 脱原子力合意、推進団体は懐疑的反応実効性の低さ指摘ドイツ政府と大手電力4社が14日に原子力政策で合意したことを受け、国内の原子力推進団体や原子力発電所からはさまごまな反応があった。まず、2,300名の原子力専門家を擁する独原子力学会のW.クレブス会長が次のように述べて遺憾の意を表明している。 「今回合意された内容すべてが非同意の合意だ。政府の脱原発政策が途方もない過ちであるにも拘わらず、電力会社側は政治の優先性を尊重して約束を守った。しかし、一方の政府側が実際に合意内容を守るかどうかは疑わしいものだ。厳密な意味で反原子力活動家の中でも強硬路線派にとっては到底受け入れられない「原子力発電所の妨害なき運転と廃棄物の処分活動」が一体どのように保証されるというのか? また、ブリュッセルに本部を置く欧州原子力産業会議連合(FORATOM)は、今回の合意を「良いニュースと悪いニュースが入り交じっている」と評価し、次のようにコメントした。 「今後は原子力発電所の運転が政治的に妨害されることはないと保証された一方、運転寿命の方は純然たる政治的な理由により制限されることになってしまった。ドイツの原発の実績は安全性、信頼性ともに申し分ないだけでなく、低コストで電力を発電。さらに、その多くが資本費を焼却し終わっているにも拘わらずだ。 このほか、ドイツの既存原発の中では最も古く、合意に従えば2002年に真先に閉鎖されると予想されるオブリッヒハイム原子力発電所では「当発電所の安全性は最近確認されたばかり。経済的にも十分引き合うことが実証されており、2002年12月に閉鎖することなど誰も考えていない」と明言。今回の会意内容を全く意に解していないとの態度を表明した。
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