[原子力産業新聞] 2000年6月29日 第2044号 <4面>

[新日本空調] 配管観察ロボット開発

小型ダクト内も走行可能

 新日本空調は、遠隔操作で原子力発電所の空調ダクト内を観察できる自走式ロボット「DUCT EYE」を開発した。ロボット本体に高画質のデジタルカメラを搭載し、モニタ画面を見ながらロボット走行やカメラの方向転換、写真撮影などを遠隔操作する。これまで難しかった小型ダクトの内部観察が可能で、原子力発電所の空調設備の予防保全からプラントの健全性維持に貢献できる。

 原子力発電所における空調設備は、健全な温度環境を維持するほか、放射線管理設備としての役割も担っており、状態の把握にはダクトを内部から見ることが最も効果的な方法とされている。しかし、従来の人の目による内部点検では、人が入ることができる大型ダクトに限定され、殆どのダクトは外部からの確認しかできなかった。

 今回開発したロボットは、最大幅25cm、高さ16cmとコンパクトなため、人が入れない小型のダクトでも走行可能で、走行しながらダクト内の堆積物や劣化状態などを、搭載した約200万画素の高画質デジタルカメラで撮影、外部テレビモニタによりリアルタイムでダクト内の様子を観察できるのが特徴。前進、後退、方向転換やカメラ撮影を遠隔操作し、撮影範囲も左右90度、仰角約70度と幅広い視野をカバーできる。また、電源にバッテリーを用いているため、どんな場所でも使用可能。

 同社では今後、同ロボットを一つのツールとして、ダクトの劣化状態の把握から中長期的な修繕計画までを盛り込んだ「ダクト修繕システム」の確立を目指していくとしている。


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