[原子力産業新聞] 2000年7月6日 第2045号 <1面>

[東海再処理施設] 3年ぶりに運転再開

定検期間中5.7トン処理

 核燃料サイクル開発機構は6月29日、東海事業所の再処理施設で使用済み燃料のせん断を開始、97年3月に起こったアスファルト固化施設事故以来、3年3か月ぶりに運転を再開した。運転再開は原子炉等規制法に基づく定期検査に伴うもので、今月27日までの間に日本原子力発電東海第二発電所の 使用済み燃料5.7トンを処理。さらに検査合格後には臨界事故を起こしたJCOウラン溶液を処理する。

 同施設については、固化施設事故以降、安全性の見直し等を行い、立入検査を行った国や茨城県・委員会、東海村議会などからは問題なしとの見解が示されており、こうしたことを受け、サイクル機構は3月に県、村に対して運転再開の申し入れ行っている。

 今回の定期検査では、茨城県や東海村等の立入検査も予定されている。定検が終了すると、運転再開に向けての国の手続き上の問題はなく、残る課題は県や関係市町村の判断になるが、県では「原子力審議会」での議論、また東海村は「村政懇談会」を6地区で開き、その結果を受けて橋本知事と村上村長が最終的に判断すると見られている。

 サイクル機構としては、近く新型転換炉「ふげん」の使用済み燃料貯蔵が満杯になる見通しであり、早期の本格運転を期待している。またJCOウラン溶液を同機構は受け入れており、この再処理施設で処理することにしている。現在、同施設で処理が認可されているウラン濃縮度4%以下を一時的に変更し、18.8%濃度の溶液を稀釈し、分離工程等で廃液処理するための許認可手続きを国に申請中だ。


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