[原子力産業新聞] 2000年7月6日 第2045号 <1面>

[第2次森内閣] 科技庁長官に大島氏

通産相は平沼氏

 第2次森連立内閣が4日発足し、科学技術庁長官(文部大臣兼務)に大島理森氏が、通商産業大臣に平沼赳夫氏が就任した。

 閣議後、初登庁した大島長官は記者会見に臨み、原子力やクローン技術などが人類の幸せのために利用されるよう、科学技術の進歩を図っていきたいと抱負を語った。

 昨年のJCO事故や、ドイツの脱原子力政策などの逆風の中で、どう原子力開発を進めていくかという質問に対しては、まず安全性の確保が課題だとし、原子力の持つ危険性を人間の英知で制御し利用していくべきと述べた。加えて、「どんなシステムを作ってもそれを使う人間が緊張感を欠いてはいけない」として、「絶えざる監視体制」を築いていく必要を主張した。また、地元青森県への核燃料サイクル施設誘致の経緯を振り返り、わが国におけるエネルギーの多様化、安定確保の重要性も指摘した。

 大島理森(おおしま・ただもり)1946年生まれ、青森県出身。70年慶大法卒。83年衆院初当選、環境庁長官、内閣官房副長官、衆院議員運営委員長、自民党国会対策委員会副委員長、副幹事長など歴任。53歳。

 初閣議後、初登庁した平沼赴夫通産大臣は会見で、「通商産業政策は、産業立国日本にとって非常に重要なもの。21世紀の入り口に立った今、重要な課題が山積みだが、最大限の努力をしていきたい」と、就任の抱負を語った。

また同大臣は、エネルギー供給計画見直しの問題について「ドイツは、原子力から手を引く選択を一応行った。しかし天然資源に乏しい日本にとっては、原子力は避けては通れないものだ」と、ドイツとの国情の違いを訴えた後、原子力の推進には@安全性をいかにして担保するかA国民合意をいかにして形成するか−が必要と述べ、今後については、それら課題を克服する努力をしながら、「わが国は、原子力を引続き推進していく」との考えを改めて示した。

 さらに環境税導入の可能性については「環境とエネルギー政策は不可分だ」と述べつつも、「エネルギーの中でも、既に税負担をしてもらっているのが現状。そういった事にも留意しつつ検討していく事が必要だ」として、新税導入には、やや憤童な姿勢を示した。

 平沼赳夫(ひらぬま・たけお)39年8月生まれ。慶大法卒、80年初当選の後、大蔵政務次官、運輸大臣、衆院大蔵委員長、農水委員長などを歴任。60歳。


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