[原子力産業新聞] 2000年7月6日 第2045号 <1面> |
[原研] 「臨界」の瞬間ビデオに撮影日本原子力研究所は6月29日、新たに開発した耐放射線光ファイバースコープを使って、濃縮度約10%のウラン溶液の臨界事故時における溶液挙動の観察に成功したと発表した。 実験はJCO事故のような硝酸ウラニル水溶液体系の臨界事故事象を実験的に解明するためで、「過渡臨界実験装置」(TRACY)を使って行われた。TRACYと沈殿槽を比較すると直径では前者が約50cm、後者のJCO沈殿槽は約45cm、ウラン溶液は前者が約380gU/リットル(U235約10%)、後者が約370gU/リットル(同約19%)。実験ではJCO臨界事故と同様の条件を含めて一運の臨界事故を模擬し、溶液と発生する気泡のふるまいをビデオに記録した。 観察の結果、JCO事故では最初に放射線分解ガスの発生に伴って、その気泡が液面に浮上して溶液から抜けた時に液面の波立ちがあったものの、その後は比較的静的な状態にあったと推定している。また大量のウラン溶液の飛散、噴出等はなく、大きな圧力の発生も殆どなかったとしている。
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