[原子力産業新聞] 2000年7月6日 第2045号 <3面>

[米濃縮会社] 来年6月にポーツマス工場閉鎖へ

「市場戦略上の決断」

 米ウラン濃縮会社(USEC)は6月21日、オハイオ州ポーツマスにあるガス拡散法濃縮工場(7,400トンSWU/年)の操業を2001年6月から停止すると発表。これに伴い、同工場従業員が政府サイトの環境復元作業に従事できるよう政府に働きかけていく方針であることを明らかにした。

 ケンタッキー州パデューカにあるもう一つの濃縮エ場(1万1,300トンSWU/年)は長期的な収益力が高く、電力料金も手頃、出力調整に応じた柔軟性のある運転、これまでの信頼できる操業実績、などの理由で今後も操業を続けていくことになった。

 差し当たって2001年6月まではポーツマスエ場で実質的なレイオフ(一時帰休)は行わないものの、それ以降2002年6月にはUSECが同工場の濃縮工程部分をエネルギー省(DOE)に返還する予定であるため、いくつかの段階に分けて従業員の削減を図っていく考えだ。

 同工揚で製品濃縮ウランを容器に詰めたり、燃料加工業等に輸送する準備作業を行っていた施設は、ポーツマス工場を閉鎖した後パデューカエ場に同様の施設が完成するまで4〜5年の間、操業を継続することになる。

 ポーツマスエ場の閉鎖理由についてUSECのJ.メロー会長は、「濃縮産業界が直面する事業戦略上の必要性に迫られて」と説明。関係各位への影響を考慮すると苦しい選択だったことを強調した。しかし、米ロ協定に伴い解体核兵器からの高濃縮ウラン550トンSWUを購入しなけれぱならないことや、競争市場における世界的な供給過剰と需要の後退が「生産コストが高く設備利用率がそれぞれ25%程度の工場二つを一本化する」という決断の決め手になったとしている。ポーツマス工場の閉鎖により、パデューカエ場の設備利用率は2002年には50%に上昇し、固定の生産コストは2002年時点で5,500万ドル近く削減できる見通しだ。


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