[原子力産業新聞] 2000年7月13日 第2046号 <3面>

[フラマトム/シーメンス] 原子力事業統合で最終合意

年内にも活動開始へ

 フランスのフラマトム社とドイツのシーメンス社は5日、双方の原子力事業を統合し、新たな合弁企業を設立することで最終合意文書に調印したと発表した。新会社の名称はフラマトムANP(Advanced Nuclear Power)で、出資比率はフラマトム社が66%、シーメンス社が34%となる予定。同社の設立により年間総売上げ高30億ユーロを超す、世界でも最大の原子力メーカーが誕生することになった。

 世界の原子力産業が統合に向けて再編されていくなか、両社は昨年12月6日、原子力サービスと核燃料市場における立場の強化を目的に互いの原子力事業を合併することで原則的な合意に達した。フラマトムANPは今後、欧米およびアジアで先進諸国のエネルギー需要の20%を賄う原子力発電事業者達のニーズに応えていくことになる。

 また、産業界で長期的に期待されている原子力発電の復興に際しても同社は「世界のリーダー的企業になる」との抱負を表明。この見解の背景には、開発途上国におけるエネルギー需要の増加が化石燃料の在庫量低下をまねき、京都議定書に示されたCO2排出量削減に逆行するという予測があると指摘した。

 法制上および機構上の理由から両社の原子力事業は別々の時期に分離される。すなわちシーメンス社の原子力部門は1日付けですでに分離され、新会杜が発足するまでの間、シーメンスニュークリア・パワー社の名でユーランゲンを本拠地とする一方、フラマトム社の原子力事業分離は10月頃になる模様。新しい合弁事業は欧州の反トラスト当局の承認を経て、年内にも活動を開始する予定だ。

 フラマトム社とシーメンス社はこれまでにも過去10年以上にわたり、互いが最大限の利益を得られるよう、双方の活動を補完する形で様々な分野の協力活動を展開してきた。例としては、旧ソ連型原子炉の安全性を西欧並みのレベルに引き上げるために数々の重電機器を供給したことや、次世代原子炉となる欧州加圧水型炉(EPR)の共同開発などが挙げられる。


Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。
Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.