[原子力産業新聞] 2000年7月20日 第2047号 <1面> |
[総合エネ調・原子力部会] 高レベル処分法施行へ向け、基本方針・計画を審議通産大臣は13日、5月に成立した高レベル(特定)放射性廃棄物最終処分法で、同省が施行に向けて検討を行っている特定放射性廃棄物処分の基本方針と計画および、単位数あたりの最終処分業務に必要な金額についての原案を取りまとめ、同日開催の総合エネルギー調査会原子力部会(部会長・近藤駿介東大教授)に諮問した。 事務局の示した原案では、まず基本方針について、処分の実施に関する事項や技術開発に関する事項に関しては、国や発電用原子炉設置者、加えて処分実施主体である「原子力発電環境整備機構」の役目や義務などを定め、また国民の理解促進の事項では、「原子力発電の便益を受ける電力消費者一般が、特定放射性廃棄物の最終処分問題について理解を深めることが重要」との観点から、国は教育や学習の機会を増やすことが、電気事業者は広報など諸活動に積極的に取り組むことが重要と指摘。また地域との共生については、原子力発電環境整備機構に対し、「地域が自律的に発展」し、「関係地方公共団体が地域の特性を活かした多様な方策を主体的に検討できるよう協力」することを求めている。 一方処分計画については、発電用原子炉の運転にともない発生する特定放射性廃棄物の総量を、ガラス固化体で2013年には約3万本、2020年には約4万本に達すると見積もり、処分場の規模と能力を「年間1,000本の収容が可能で、4万本以上の処分が出来る規模」と定め、さらに処分開始時期を「2028年代後半を目処に開始する」としている。 また、昨年11月に見積もりが行われた処分費用についても、@処分事業開始時期が2000年4月から同年10月へ変更されたことや、輸送費の見直し、消費税の算入といった見積もりの前提の見直しA前回見積もりでは1997年価格で行われたものを、最新価格に見直したこと−といった新たな条件の下で再見積もりを行った結果、最終処分費用は軟岩系、硬岩系の平均で3兆408億円から2兆9,305億円へと下方修正された。また割引率も、10年国債の過去5年間の平均利回り2.44%から物価上昇率0.44%を減じた2.0%が採用され、これらをトータルした結果算出された単位数あたりの最終処分に必要な拠出金は、ガラス固化体1本あたり3,590万円(前回見積もりではキロワット時あたりで算出されており、それでいくと14銭から13.2銭)へと下方修正された。 今回示された原案については、今後は同部会での議論やパブリックコメントの結果を踏まえて案としてまとめられた後、原子力委員会および原子力安全委員会の意見を聴いた上で、9月半ばを目処に閣議決定される予定。
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