[原子力産業新聞] 2000年7月27日 第2048号 <1面> |
[長期計画] 原子力長計、素案示される民間の発意を誘導原子力委員会長期計画策定会議は24日、第13回会合を都内で開催し、報告書素案について議論を行った。 報告書案は前回審議での意見を反映しながらも概ね骨子案に沿ったもので、国民へのメッセージとしての第一部「原子力の研究、開発及び利用の現状と今後の在り方」、各分科会報告書をまとめ具体的指針とした第二部「原子力の研究、開発及び利用の将来展開」のほか、新たに「はじめに」の部分が加わっている。 森嶌昭夫策定会議座長代理は報告書案について、「数値目標を設定するよりは基本的方向を示すことを旨とし、国の基本的役割を述べ、民間に対して国がどう期待するかを示している」とし、原子力開発に民間のイニシアティブを誘導することに留意していると説明した。 「はじめに」では、策定会議の審議の経緯に触れ、東海村で臨界事故が起こったことから「国民の原子力に対する見方は一層厳しくなり、改めて、原点からの議論の重要性を痛感して、より広範な視点からその後の審議を進めた」と言及。今後の原子力政策を進めるに当たっては「国民・社会及び国際社会の理解と信頼を得ていくことが大前提であるとの立場に立ち、原子力関係者のための具体的な指針にとどまらず、国民・社会や国際社会に向けたメッセージとしての長期計画の役割を重視する」と説明。さらに「国と民間の果たすべき役割を踏まえつつ、将来にわたって堅持し、着実に実施しなければならない理念や政策を示すとともに、情勢の変化によって機動的に対応すべき研究開発活動等については、多様な選択肢を用意し、適時適切な評価により計画に柔軟に取り組む」との原則を示している。 報告書案に対しては、「立地地域とは共生というより共存共栄を図ることを明確にすべき」「政策決定への国民参加や国民的視点での情報提供を進める点は評価できる。新長期計画の遂行に対する評価機関の設置を望む」といった意見や、「時代の変遷に伴い高速炉開発の重点も変わるとの視点も重要」「放射線影響の研究や食品照射等、放射線についても国の役割は大きい」など、多くの意見が委員から出された。 最終報告書案は次回会合でとりまとめられる予定。
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