[原子力産業新聞] 2000年7月27日 第2048号 <3面>

[米国] 防護基準策定論争で議会の調停を勧告

米国の使用済み燃料処分場候補地であるユッカマウンテンの放射線防護基準策定を巡る二つの担当機関の論争について、米議会による調停を勧告する報告書が14日に公表された。

この報告書はP.ドメニチ上院議員の要請により、議会の調査機能を担っている会計検査院 (GAO) が6月30日付けでまとめていたもの。ネバダ州ユッカマウンテンが高レベル放射性廃棄物 (HLW) の最終処分場に正式決定した場合に備え、現在、環境保護庁 (EPA) と米国原子力規制委員会 (NRC) が廃棄物から一般大衆への影響を最低限に抑えるための被曝許容基準を策定中だ。しかし、EPA の基準案では、サイト近隣住民の飲料水の規制を地下水中の放射性物質に限定しているのに対し、NRC は国際社会で広く勧告されている放射線防護ガイダンスに則り、地下水のみならず、その他の潜在的な汚染源に関して土壌や大気などすべての経路からの被曝を含め年間25ミリレム以下とすることを提案している。

このような差異は連邦施設の浄化や廃止措置の規制と同様、作業ペースやコストなどとのからみから生じる。最終的な基準値の勧告は米国科学アカデミー (NAS) が行う予定だが、GAO では両機関の基準値に関する科学的な根拠とコストの審査を実施した。しかし、どちらも様々な秒学者の見解を前提条件にするなど決定的な科学的根拠に乏しいことが判明。両者間の膠着状態はすでに数年にわたっており、今後も続いていくことが十分予想されることから、議会が調停に入る以外に事態を打開する方法はないとの結論に達したと説明している。


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