[原子力産業新聞] 2000年8月3日 第2049号 <2面>

[日立/竹中] 中部、浜岡5の建屋施工で、データ共有しコスト削減

3次元 CAD 使い建設工事効率化

日立製作所と竹中工務店は、中部電力浜岡原子力発電所5号機タービン建屋の建設工事の効率化を図るため、機械・建築分野に関わる3次元 CAD データを交換・共有し、共同シミュレーションを行うなど協働することで合意した。原発建設で機器メーカーと建設業者が本格的に協働して施工手順の検討を行うのはわが国では初めて。

原発建設では機器や配管の相互干渉回避や運転、保守スペース確保のため、3次元 CAD を用いた検討が不可欠で、従来、機器の設計・製造は機器メーカー、建屋の設計・建設は建設業者がそれぞれ行っている。しかし、浜岡原発5号機が建設される敷地は狭く、機器の先入れが大幅に増加することから、一層の工期短縮とコスト削減が求められており、機器メーカーと建設業者が協働で施工することなった。

今回の協働では、日立が設計に用いた3次元データを竹中工務店に提供し、工事全体の計画の立案、提示を行う。一方、竹中公務店は建設仮設材の3次元 CAD データを作成し、本設データと合体させた上で建設工程を立案、機器工程とあわせて CG アニメーション化する。両社はこの CG をベースに施工計画について検討するほか、工事関係者への導入教育や周辺住民への理解促進ビデオ等にも活用する予定。今後は工事の進捗状況に併せ、電子データを交換し、詳細かつ高精度なレベルの協働作業を進めていくほか、毎週の工程計画を電子データで交換し、両社間での工程の調整および工程計画、書類作成に関する作業の大幅な削減を進めていくとしている。

浜岡原子力発電所5号機は2005年1月の運転開始を目指しており、同タービン建屋は昨年12月に着工、2002年末には建屋構造体が出来上がる予定。同タービン建屋の機器を日立が、施工を竹中工務店を主幹事とする JV がそれぞれ受注している。


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