2000年７月のわが国原子力発電所の運転実績

[原子力産業新聞] 2000年8月3日第2049号＜４面＞

2000年７月のわが国原子力発電所の運転実績

日本原子力産業会議の調べによると、２０００年７月のわが国の原子力発電所 (「ふげん」を含む) の運転実績は、設備利用率８４.１％、時間稼働率（1）８４.４％、時間稼働率（2）８４.９％を記録した。盛夏を迎え稼働率も上昇、高水準の数字を示した。

期間中、定検に伴う停止を終えて発電を開始したユニットは、中部電力の浜岡３号機 (６日)、関西電力の大飯３号機 (１９日)、四国電力の伊方２号機 (７日)、九州電力の玄海３号機 (４日)の、BWR １基、PWR ３基の計４基。一方で定険入りに伴い停止したものは、関西電力の美浜３号機 (２８日)、大飯１号機 (３１日) の２基だった。なお、２７のユニットが、期間中利用率１００％を記録している。

東京電力の福島第一２号機は、２３日タービンバイパス弁付近からタービン制御油の漏えいが確認されたため、停止し、原因調査を進めることになった。また、同６号機は、２１日午前３時３９分に茨城県沖地震が発生した後に、気体廃案物処理系の流量が増加を示したため、停止した。調査の結果、タービン建屋内にあるクロスアラウンド管逃し弁６台の内、１台の付属小口径配管の取付部に割れによる隙間があり、この部分から吸い込まれた空気が復水器を介して気体廃棄物処理系の流量を増加させたことがわかった。

炉型別の平均設備利用率は、BWR (ABWR を含む28基、2,555万1,000kW) ７７.４％、PWR (23基、1,936万6,000kW) ９２.８％で、ATR (「ふげん」、16万5,000kW) ８１.３％。また、電力会社別の平均設備利用率は、日本原子力発電 (3基、261万7,000kW) ８６.４％、北海道電力 (2基、115万8,000kW) １００％、東北電力 (2基、134万9,000kW) １００％、東京電力 (17基、1,730万8,000kW) ７２.７％、中部電力 (4基、361万7,000kW) ９３.９％、北陸電力 (1基、54万kW) ９９.７％、関西電力 (11基、976万8,000kW) ９０％、中国電力 (2基、128万kW) ６４％、四国電力 (3基、202万2,000kW) ９１.１％、九州電力 (6基、525万8,000kW) ９５.７％などとなった。

わが国の原子力発電所の運転実績 (原産調べ)

発電所名	炉型	認可出力 [万kW]	稼働時間 [時]	稼働率① [％]	発電電力量 [MW時]	利用率 [％]	備考
東海第二	BWR	110.1	744	100.0	818,400	100.0
敦賀1	BWR	35.7	0	0.0	0	0.0	第26回定検中 (H11.8.20～)
敦賀2	PWR	116.0	744	100.0	862,942	100.0
泊1	PWR	57.9	744	100.0	430,747	100.0
泊2	PWR	57.9	744	100.0	430,741	100.0
女川1	BWR	52.4	744	100.0	389,856	100.0
女川2	BWR	82.5	744	100.0	613,453	99.9
福島第一1	BWR	46.0	744	100.0	342,228	100.0
福島第一2	BWR	78.4	549	73.8	430,617	73.8	タービン制御油漏洩に伴う故障停止 (7.23～)
福島第一3	BWR	78.4	744	100.0	583,273	100.0
福島第一4	BWR	78.4	0	0.0	0	0.0	第17回定検中 (5.17～)
福島第一5	BWR	78.4	0	0.0	0	0.0	第17回定検中 (H11.12.8～)
福島第一6	BWR	110.0	502	67.5	547,230	66.9	気体廃棄物処理系流量増加に伴う故障停止 (7.21～)
福島第二1	BWR	110.0	744	100.0	818,400	100.0
福島第二2	BWR	110.0	744	100.0	818,400	100.0
福島第二3	BWR	110.0	744	100.0	818,260	100.0
福島第二4	BWR	110.0	595	80.0	648,730	79.3	*1
柏崎刈羽1	BWR	110.0	744	100.0	818,400	100.0
柏崎刈羽2	BWR	110.0	487	65.4	523,190	63.9	*2
柏崎刈羽3	BWR	110.0	744	100.0	818,400	100.0
柏崎刈羽4	BWR	110.0	336	45.2	364,690	44.6	*3
柏崎刈羽5	BWR	110.0	744	100.0	816,900	99.8
柏崎刈羽6	ABWR	135.6	0	0.0	0	0.0	第3回定検中 (6.12～)
柏崎刈羽7	ABWR	135.6	744	100.0	1,008,864	100.0
浜岡1	BWR	54.0	744	100.0	401,725	100.0
浜岡2	BWR	84.0	744	100.0	624,647	99.9	海水温度上昇による出力未達
浜岡3	BWR	110.0	611	82.1	654,198	79.9	第10回定検中(5.8～7.6 併入)
浜岡4	BWR	113.7	744	100.0	845,900	100.0
志賀1	BWR	54.0	744	100.0	400,672	99.7
美浜1	PWR	34.0	744	100.0	252,611	99.9
美浜2	PWR	50.0	744	100.0	371,181	99.8
美浜3	PWR	82.6	649	87.2	532,205	86.6	第18回定検中 (7.28～)
高浜1	PWR	82.6	744	100.0	614,464	100.0
高浜2	PWR	82.6	744	100.0	614,464	100.0
高浜3	PWR	87.0	744	100.0	647,148	100.0
高浜4	PWR	87.0	744	100.0	647,148	100.0
大飯1	PWR	117.5	720	96.8	835,095	95.3	第16回定検中 (7.31～)
大飯2	PWR	117.5	744	100.0	832,850	95.3
大飯3	PWR	118.0	308	41.3	317,730	36.2	第7回定検中 (6.11～7.19 併入)
大飯4	PWR	118.0	744	100.0	877,830	100.0
島根1	BWR	46.0	0	0.0	0	0.0	第22回定検中 (5.11～)
島根2	BWR	82.0	744	100.0	609,778	100.0
伊方1	PWR	56.6	744	100.0	420,876	99.9
伊方2	PWR	56.6	581	78.1	287,748	68.3	第14回定検中 (4.23～7.7 併入)
伊方3	PWR	89.0	744	100.0	662,124	100.0
玄海1	PWR	55.9	744	100.0	415,735	100.0
玄海2	PWR	55.9	744	100.0	415,740	100.0
玄海3	PWR	118.0	662	89.0	708,737	80.7	第5回定検中 (4.30～7.4 併入)
玄海4	PWR	118.0	744	100.0	877,800	100.0
川内1	PWR	89.0	744	100.0	662,070	100.0
川内2	PWR	89.0	744	100.0	662,067	100.0
小計または平均 ( )は前月		4,491.7 (4,491.7)	32,040 (29,040)	84.4 (79.1)	28,094,264 (25,766,343)	84.1 (79.7)
時間稼働率② ( )は前月				84.9 (79.9)
ふげん	ATR	16.5	612	82.2	99,776	81.3
合計まはた平均 ( )は前月		4,508.2 (4,508.2)	32,652 (29,760)	84.4 (79.5)	28,194,040 (25,884,826)	84.1 (79.7)
時間稼働率② ( )は前月				84.9 (80.0)

*1・・・原子炉一次冷却材中のよう素濃度上昇に伴う事故停止 (7.25～)
*2・・・タービン系蒸気凝縮水漏洩に伴う故障停止 (6.29～7.11)
*3・・・発電機冷却用水素ガス消費量の増加に伴う故障停止 (7.15～)

電力会社別平均設備利用率－２０００年７月

会社名	基数	出力[万kW]	利用率[％]
原電	3	261.7	86.4
北海道	2	115.8	100.0
東北	2	134.9	100.0
東京	17	1,730.8	72.7
中部	4	361.7	93.9
北陸	1	54.0	99.7
関西	11	976.8	90.0
中国	2	128.0	64.0
四国	3	202.2	91.1
九州	6	525.8	95.7
(ふげん)	1	16.5	81.3

炉型別平均設備利用率－２０００年７月

炉型	基数	出力[万kW]	利用率[％]
BWR	28	2,555.1	77.4
PWR	23	1,936.6	92.8
ATR	1	16.5	81.3