[原子力産業新聞] 2000年8月10日 第2050号 <1面> |
[高レベル廃棄物] バックエンド対策専門部会、国際ワークショップ開催地層処分の技術的信頼性を議論高レベル廃棄物処分の進め方をめぐる国際ワークショップ「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性について」が8日、9日の両日、東京・港区の三田共用会議所で開かれ、初日基調講演した高原須美子元フィンランド大使は「プロセスの透明性」をはかり「処分事業への国民の信頼感を得る」ことの重要性を強調、またスウェーデンのピーター・二ーゴシュ放射性廃棄物管理会社社長も、後世代に選択肢を残した段階的なプロセスを示すとともに、国民に対して「オープンかつ誠実」に理解を求めていくことが不可欠であるとの認識を示した。 このワークショップは、原子力委員会のバック・エンド対策専門部会が、核燃料サイクル開発機構がとりまとめた技術報告書「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性−地層処分研究開発第2次取りまとめ」の評価にあたり、内外の専門家の意見を聞く目的で開催された。現在、同専門部会では、第2次とりまとめ評価報告案を公表して広く国民からの意見も聞いている。今回のワークショップでの意見を含め幅広い層からの意見を踏まえ、今秋にも評価報告の最終とりまとめを行い、原子力委員会に報告する。 初日、高原須美子元フィンランド大使は「国民・社会と放射性廃棄物」をテーマに基調講演を行った。このなかで、同氏は、原子力に関して「最近、国民の関心は廃棄物が中心になっている」としたうえで、フィンランドの例をあげ、日本としての高レベル廃棄物処分の進め方について「日頃から原子力発電への信頼性、安全性に対する向上の努力」や「情報の公開」が基本であるとした。また特に「処分地の選定には処分事業そのものに対する国民の信頼感が重要」と強調した。また、同氏はフィンランドでの処分地選定の例として、いくつかの候補から段階を追って絞り込み、かつそのプロセスの透明性をはかることで、国民に対して説明力ある方策をとっている点を紹介。日本でも、地域住民からの合意を得るうえで、段階的なプロセスを踏むことで安全性などの面から説得力のある方策をとる必要があると指摘した。 またスウェーデンのピーター・ニーゴシュ核燃料・放射性廃棄物管理会社社長は「スウェーデンにおける使用済み燃料処分計画」について基調講演した。同氏は同国の処分計画を紹介、特に「後の世代が選択できる段階的なプロセスを提示することが重要」とし、また「新技術や社会、コミュニティーの価値変化にも柔軟に対応できるものであるべき」との認識を示した。 このあと、「我が国の地質環境」、「処分技術の評価」などをめぐるパネルディスカッションが行われ、第2次とりまとめの内容が概ね「地層処分の基盤技術が整備」されている点で認識が一致、またそれをベースに今後どう進めていくべきかが活発に議論された。両日の議論を総括した第2次とりまとめ評価分科会主査をつとめる小島圭二東大名誉教授は、「一般市民を巻き込んで議論」を進めるため、公開での議論を行う重要性をあげた。また地層処分技術開発に取り組む「技術者集団が目に見えてくることが必要」として、地下研究施設の整備などの必要性を強調した。
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