[原子力産業新聞] 2000年8月10日 第2050号 <2面> |
[サイクル機構] 来年度予算要求地層処分技術、信頼性の向上も課題核燃料サイクル開発機構 (JNC) は7月28日、総額約1,380億円となる来年度の予算概算要求をまとめ、原子力委員会に説明した。「もんじゅ」の早期運転再開を目指すとともに、FBR サイクルの開発戦略研究を実施して競争力のある FBR サイクル技術の検討を進める。高レベル放射性廃棄物処分については、地層処分技術の信頼性確認や安全評価手法の確立に向けた基礎研究等を進め、その成果を安全基準に反映、処分事業実施主体に適切な移転を図る。 予算要求の内容を事業別に見ると、「高速増殖炉と関連する核燃料サイクル技術の研究開発」では全体として500億4,000万円が計上されている。今年度認可額より約57億円の減額要求だが、これはリサイクル機器試験施設の第一期工事が今年度で終了するため、高速炉燃料再処理技術の研究開発費の計上が約110億円減額されたことが大きく関係している。 高速増殖炉「もんじゅ」については、長期停止に伴なう未点険設備の点検維持費15億円を含め103億3,000万円を要求、施設の維持管理および安全性向上に取り組み、運転再開に備えるとしている。 来年度より第二期を迎える FBR サイクル開発戦略調査研究には46億7,000万円が見積もられており、幅広い技術的選択肢の評価を行い、安全性確保・経済性・資源の有効利用・環境負荷の低減・核不拡散性の視点から FBR サイクルの実用化研究開発を継続する方針。具体的には、ナトリウム冷却炉・重金属冷却炉・ガス冷却炉等の概念設計研究のほか、先進的湿式再処理プラント・複数の乾式再処理プラント・簡素化ペレット燃料製造・振動充填燃料製造等の概念設計研究を定量的に比較評価できるレベルまで高度化していく中で、それぞれに実用化目標を達成するために必要な技術の成立性確認試験等を行う計画。 「高レベル放射性廃棄物の処理処分技術に関する研究開発」については、今年度認可額より約21億円増の106億円を計上している。この中で、「我が国における地層処分の技術的信頼性を示した第2次とりまとめ」に対する国の評価を踏まえた研究課題の実施、および地層処分基盤研究施設 (ENTRY) や地層処分放射化学研究施設 (QUALITY) 等での試験を通じて地層処分の技術的信頼性を向上させる方針。あわせて地層科学研究、深地層研究施設計画を着実に進めていく。 「軽水炉再処理技術の研究開発」としては、276億6,000万円を見積もっている。東海再処理施設では、使用済み燃料の役務契約による再処理運転とあわせ高燃焼度燃料の再処理および運転保守技術改良に関するフィールド試験を実施する。また低放射性濃縮廃液貯蔵施設の建設も進めるとしている。 さらに、「安全対策等の実施」費用として123億5,000万円を計上している。このうち、8億円は JCO 臨界事故後の原子力防災体制強化策として設置される「原子力緊急時支援・研修センター」の本格運用に充てられるもの。同機構では、ひたちなか市と敦賀市の2か所に原子力緊急時支援・研修センターを設け、原子力災害対策特別措置法により整備が規定された「オフサイトセンター」を支援していく予定。 ロシアの余剰兵器プルトニウムの処分実施のため、引き続き振動充填法燃料製造設備の製作等の国際協力プロジェクトとして、9億7,000万円の要求も盛り込まれている。 なお、新型軽換炉「ふげん」やウラン濃縮技術開発といった整理縮小事業は、引き続きその成果をとりまとめ、廃止措置関連技術の開発や民間事業者への技術移転等を進めていく考え。
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