[原子力産業新聞] 2000年8月10日 第2050号 <2面> |
[原水禁] 核兵器廃絶へ「明確な約束」の履行求める原水爆禁止日本国民会議 (原水禁。社民党、旧総評系) 主催の「被曝55周年原水爆禁止世界大会」広島大会が、4日〜6日の日程で開催された。広島中区の県立総合体育館で4日に行われた開会総会には、内外から約4,000名が参加。岩松大会実行委員長の挨拶に続き、佐藤康英原水禁事務局長が(1)運動の国際化(2)「子供原水禁大会」開催(3)被爆体験の継承−を、来年の大会までの1年間の主要課題として提示した。 翌5日に行われた7分科会のひとつ「東海臨界事故と原子力政策」では、広島県原水禁の福永学氏および岡本重人氏を座長に、臨界事故被害者の会の大泉昭一代表、JCO 臨界事故総合評価会の古川路明代表、原子力資料情報室の伴英幸共同代表をパネリストに迎え、様々な立場から検証した。 冒頭、東海村在住の大泉氏が、JCO 臨界事故時の模様および、その後の国の対応に付いて、住民の立場から報告などを実施。また、古川氏は、同事故は JCO の経営状況悪化に伴う合理化その他の要因から起きたものであり、「事故の責任を JCO のみに押しつけるわけにはいかない」と述べ、責任は周辺にも及ぶとの考えを披露した。 最後に意見発表を行った伴氏は、原子力安全委員会の事故調査報告に付いて、「市民のサイドから」検討・検証を行うという目的で、原水禁および原子力情報室の呼びかけで発足し、現在最終報告へ向けて活動中の「JCO臨界事故総合評価会議」の報告を行った。伴氏は、臨界事故を「日本の世論を脱原発に決定付けるほどの影響を与えた」と位置づけ、現在は原子炉の老朽化に伴い「深刻な事態を招きかねない」状況にあると予測して、原子力安全委員会の機能強化など安全規制強化の必要性を強調。加えて「脱原発世論を、いかにして政策に反映させていくかが課題だ」とした。 原水禁世界大会は、6日に開催された「まとめ集会」で、今年4月に開かれた NPT 会議に盛り込まれた核兵器完全廃絶への「明確な約束」の履行を世界中の非政府組織 (NGO) などとの連携を強めて具体的に前進させる−などとしたヒロシマ・アピールを採択し、3日間に渡る日程を終了。翌7日間らは舞台を長崎へと移し、9日までの日程で「長崎大会」として開催された。
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