[原子力産業新聞] 2000年8月24日 第2051号 <1面>

[中国電力] 島根3号機、電調審に上程

2010年の運転開始目指す

第143回電源開発調整審議会 (会長・森喜朗首相) が21日開催され、中国電力の島根原子力発電所3号機 (ABWR、137万 kW) が上程し、国の電源開発基本計画に組み入れられた。これにより島根3号機増設計画は、2010年3月の営業運転開始に向けて大きな一歩を踏み出したこととなる。なお、原子力発電所の上程は昨年8月の電源開発・大間原子力発電所以来1年ぶりのことで、東海村・JCO 臨界事故後初の上程となる。

今回の電調審では、2000〜09年度の10年間の電力需要の伸びを、需要電力量で、1.8%、最大電力で約2.1%と見込み、計画期間中の老朽化などの廃止を考慮して、5,278万 kW の電源の運転開始が必要と予測。既に電源開発基本計画に組み入れられているものが約3,950万 kW、また卸供給事業者による供給が633万 kW の新規着手が期待されるとした。

今回上程された島根原子力発電所4号機は、中国電力初の改良型沸騰水型軽水炉 (ABWR) で計画されており、出力は137万3,000 kW。既存の1・2号機の北西部に隣接する形で建設される。

同計画は94年に地元鹿島町長が、中国電力に対して増設検討を要請し、これを受けた中国電力は、97年3月に島根県、鹿島町および関係者3漁協に対して申入れを実施、98年2月には環境影響調査書を通産省・資源エネルギー庁に提出、以降98年11月には第一次公開ヒアリングを開催するなど、計画を着々と進展させて来た。昨年9月の JCO 臨界事故の影響もあったが、それまでの1・2号機の長期にわたる安全運転実績により育まれた地元との信頼関係もあって大きなスケジュール変更をすることもなく、今年6月末から7月にかけて、地元の鹿島町、島根町、松江市、島根県から相次いで電源開発基本計画組み入れについての同意を得ることが出来た。今後同計画は、原子炉設置許可申請、安全審査、第二次公開ヒアリング開催などといった一連の運開を目指すこととなる。

なお2000年度電力供給計画によると、年内に北海道電力の泊3号機、東京電力の福島第一7、8号機、中国電力の上関1、2号機の5基・641万 kW が、また今年度中に日本原子力発電の敦賀3,4号機の2基・307万6,000 kW が、それぞれ電調審への上程を予定している。


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