[原子力産業新聞] 2000年8月24日 第2051号 <3面> |
[フランス] 高レベル地層処分研究所の建設候補地を調査地元との交渉法で勧告フランスで2つ目の高レベル放射性廃棄物地層処分研究所を建設するため、花崗岩質の複数の候補地で事前調査を実施していた3名の専門家が報告書を政府に提出していたことが8日付けで明らかになった。 フランスではすでに昨年8月、ムーズ県ビュール村の粘上質層に同国で初めての地層処分研究所を建設する政令が公布されている。研究所は地質の異なる2か所以上で建設する必要性があるため、花崗岩質の候補地だったヴィエンヌ県ラシャプルバトンが地質学的に不適当と判断された後、同様に花崗岩質の15か所で地元住民の反応調査が行われていたもの。 しかし、今回の報告書はこれらの多くが「否定的な反応を強く」示したことを伝えており、サイトの選定を行う前の手続きに変更を加えるよういくつかの勧告を提示。特に、(1)HLW に限らず放射性廃棄物全般が他の産業副産物と比較して人の健康や環境に及ぼす実際のリスク程度(2)研究所の存在が地元の農業や観光などに与えるイメージ、に関してはフランス国民が包括的な事実を十分知らされるようなメカニズムを構築すべきだと強く訴えた。 報告書はまた、候補地の自治体と折衝するにあたっては正式な手続きの導入が重要だと指摘しており、その設定には原子力安全情報上級審議会 (CSSIN) および地元情報委員会 (CLI) があたるべきだと勧告している。 なお、この報告書が公けになった後、産業省と環境省は共同で声明を発表。2つ目の研究所建設サイトの選定に向けて政府は今後も審査を続けていくと強調した。また、深地層処分は、浅地層での長期貯蔵、群分離・消滅処理と並んで高レベル廃棄物処分の1オプションに過ぎず、最終的な処分方法は2006年の議会審議に委ねられていることを改めて表明した。
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