[原子力産業新聞] 2000年8月31日 第2052号 <2面> |
[核融合会議] JT-60改修計画を大筋了承詳細は今後の協議へ懸案となっていた JT-60 の改修計画が、原子力委員会核融合会議 (座長・井上信幸京大エネルギー理工学研究所長) で大筋了承され、今後、改修検討委員会の場で詳細について議論していくこととなった。 核融合会議は、21日に開かれた会合で、JT-60 の改修計画や今後の核融合炉ブランケット、レーザー核融合の研究開発の進め方などを審議。JT-60 の改修計画については、6月に科学技術庁原子力局に設置された JT-60 改修計画検討委員会が「第3段階核融合研究開発基本計画」における実験炉計画を進めるにあたっての JT-60 改修の意義に関し、このほどまとめた「JT-60 改修計画検討委員会報告書」をもとに審議が進められた。同委員会は、日本原子力研究所からの提案に対して、JT-60 改修計画の位置づけ、目標設定と個別研究課題、各段階における改修計画遂行の方策といった観点から審議・評価を行ってきた。 報告書は結論として、(1)JT-60 改修計画の位憤づけについては、「ITER の補完という位置づけをやめて、第3段階核融合基本計画に定められた実験炉以外のトカマクとして、先進的・基盤的課題に対して、大学等との連携協力により取り組む」ことで全会一致(2)核融合開発研究のステップとして、臨界プラズマ条件を選び、電流分布拡散時間より長い定常・高性能を目指す目標、ならびにそれを実現する装置規模は、概ね妥当とする意見が大勢を占めた(3)他のトカマク研究との相補性、他の研究グルーブとの研究における相乗効果を目指す点は評価でき、連携協議の場を活用して協力を進めるべき(4)実験段階の共同研究体制としては、大学等が主体的に参加できることが重要。運用協議会において連携協力が具体的に実現されることが望ましい(5)改修に係わる提案を改めて核融合コミュニティーに広報するべき−と、記している。 さらに、これまで長時間を費やして議論してきたとする大学等との改修計画に関する具体的合意形成方策として、「今後設置される JT-60 改修検討委員会において、12月までに国内外における先進的装置を横断的に展望し、包括的に把握して、それぞれの役割を評価できるように検討を進める」との方針を示している。 こうした内容の報告書に対して委員からは、「原研が進めるエネルギー開発としての核融合研究の位置づけには何ら変化はない」「JT-60 の改修計画については、性急に結論を出すべきではない」「JT-60 が改修できれば、ITER 計画やその後の原型炉の開発にも役立つ」「大学における LHD 研究とトカマクの関係はどうなるのか。省庁再編もあり、個別にそれぞれの研究を続けていては批判される」などといった意見が出されるなど、議論が白熱した。 核融合会議としては、改修計画をめぐる様々な意見が存在することを認めた上で、最終的に JT-60 の改修計画について了承し、なお意見の食い違いの見られる点については、今後も関係者間で議論を重ねることとした。 また、この日の会合では、93年に同会議の下に設置された核融合会議計画推進小委員会が「第3段階核融合研究開発基本計画」に基づき進めてきた2つの検討結果を、「核融合炉ブランケットの研究開発の進め方」「レーザー核融合の現状と展望について」という報告書案として提出。審議の結果、両報告書とも了承された。
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