[原子力産業新聞] 2000年8月31日 第2052号 <3面>

[フランス] 再処理施設の周辺で白血病との関連調査続行

今月始め、フランスのD.ヴォワネ環境相とD.ジロー保健相は原子力安全防護研究所 (IPSN) のA.スジエ氏に対して、ノルマンディ地方コタンタン半島に立地するラアーグ再処理工場などの原子力施設と地元の白血病発生との関連について今後も調査を続けていくよう要請した。

スジエ氏の専門家グループはすでに2年間にわたり同地区で調査を実施しており、昨年、「コジェマ社の原子力施設から排出される放射性物質と地元における小児白血病発生との因果関係を裏付ける証拠は見つからなかった」との報告書を発表していた。さらにその前の年に別のチームが公表した疫学調査では「再処理工場周辺地区の白血病発生率には統計的に意味のある増加は認められなかった」との結果がでていたことから、スジエ氏の調査はこの結論を裏付けた形になっている。

今回の2閣僚による同氏への要請では、これまでの調査活動をさらに拡大した、新たな任務が盛り込まれている。すなわち、(1)白血病のリスク推定に使われた主要パラメータの感度と不確実性を分析する(2)フランスでの調査成果を、英国の「環境放射線の医学的側面に関する委員会 (COMARE)」が英国シーズケール村で実施したセラフィールド再処理工場と地元の小児白血病の多発についての関連調査結果と比較する。調査方法や調査の障害となった物、得られた教訓の比較に際しては、COMARE の専門家および国内の疫学調査を実施したA.スピーラ教授とも協力する(3)コタンタン半島北部の原子力施設から排出される科学物質による環境や健康への影響を調べるため、調査グループの人員を拡充する−などだ。


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