[原子力産業新聞] 2000年8月31日 第2052号 <3面> |
[ウラン価格] 「年内はさらに低下」来年から回復基調に米国の産業誌「Ux Weekly」の新たなアンケート調査で、ウラン市場関係者の大多数が「価格は今後2、3か月間でさらに低下し、値が戻るのは来年になる」と予想していることが明らかになった。 米国および米国以外の電力会社や関連企業62社を対象に行われたこの調査によると、回答者の約半数がウラン (U3O8) の市場価格は1ポンドあたり8ドル以下で年を越すと予測していた。かなり少数の意見としては年末の底値は7ドル50セント以下まで達するとの見方もある一方、逆に9ドル〜9ドル50セントとの意見も。年末価格は9ドル〜9ドル50セントと言うのが大方の予測だった今年初頭の調査とは対象的な結果となった。旧ソ連諸国のウラン価格も全般的に1ドルほど安いと見られるものの同様の価格幅にあると見込まれている。 また、回答者の多くが「来年になれば値は若干回復し、その後5年間はポンドあたり10ドルから13ドルで推移する」と答えていた。これに反対意見の人の4割〜5割は長期価格を10ポンド以下と予想しているのに対し、残りの5割は反対に13ポンド〜16ポンドとする見方だ。価格を高めに予想している人達は判断の根拠を、「長期的には在庫から供給される量が少なくなって増産への要求が高まり、一層コストに見合った価格に落ちつくと思われるから」と説明している。比較的変動の少ない長期価格を予想した人達は、「旧ソ連の核兵器を出所とする高濃縮ウランなどの在庫があるため、十分な供給量が価格を押し下げ続けるだろう」とコメントした。 さらに、回答者の7割は「もし価格が今後5年間、現状レベルで留まれば、多くのウラン生産業者が廃業するだろう」と指摘しており、その理由として操業益があまりにも低く、投資を回収するのに十分な利ざやが期待できない点を挙げた。反対に「現状価絡でも生産業者は生き残れる」とする少数見解では、実際の生産コストは公表されているよりもかなり安く、多くの生産業者は特に低コストを享受。生き残るためにさらなるコスト削減さえも可能だと主張している。
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