新原子力長期計画の概要 (1)
原子力の研究、開発及び利用の将来展望から
既報の通り、新原子力長期計画案がこのほど原子力委員会に報告され、インターネットや意見を聞く会などを通じて国民から広く意見を聞くこととなった。今号では、同計画案の第2部から原子力発電をはじめとする各課題の将来展望について内容を抜粋して紹介する。
長期計画案 第2部の主要点
- 国は、原子力研究開発利用の基本方針の明確化、安全規制の実施、平和利用の担保、危機管理体制の整備、基礎的・基盤的研究開発の推進等とともに、状況に応じて民間の誘導等を行う。
- 競争的研究環境の下で独創性豊かな研究開発の振興を図り、多様な選択肢と柔軟性をもって研究開発を進めることが重要
- 国は厳格な安全規制を実施する一方、事業者の自主保安活動による安全確保の実効性向上や安全の最優先、原子力災害対策特別措置法の実効性確保が必要
- 国や事業者は、適時、的確に信頼性の高い情報公開と分かりやすく多様なニーズを踏まえた情報提供が必要
- 「総合的な学習の時間」等を活用した原子力教育が重要
- 事業者と地域社会がともに発展し共存共栄する「共栄」への取り組みが必要
- 原子力発電は引き続き基幹電源と位置づけ、最大限活用する
- 核燃料サイクル事業では、以下を民間に期待する
- 六ヶ所ウラン濃縮工場に、より経済性の高い遠心分離器を開発導入し、生産能力を1,500トンSWU/年規模まで着実に増強すること
- プルサーマルを計画的かつ着実に推進すること
- MOX 燃料加工を早期に産業として定着するとともに、次の再処理工場は、2010年頃から検討を開始すること
- 中間貯蔵を核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として、事業を着実に実現すること
- 放射性廃棄物は、処分方法に応じて区分し具体的な対応を図る。高レベル廃棄物は30〜50年程貯蔵し、その後地層処分する
- 「もんじゅ」を高速増殖炉サイクル技術の研究開発の中核と位置づけ、早期に運転を再開する。実用化への開発計画は、時期を含め柔軟に対応する
- 加速器、ITER 等の核融合、革新的原子炉、基礎・基盤研究を推進する
- 医療、工業、農業分野で一層幅広い分野で活用できるよう、放射線利用の普及を図る
- 低線量放射線の人体影響の研究、高線量被曝についての治療研究を推進する
国際社会と原子力の調和 (略)
- わが国の原子力平和利用技術で、余剰兵器プルトニウム処分への協力等、核不拡散体制の維持・教科に主体的に取組む
- 大学には、多様かつ有能な人材の養成に取組むことを、産業界には技術力および製造力の維持・継承、発展のための努力を期待する
- 原子力供給産業には、国際展開や業界の再編成等を見据え、経営体質の強化を期待する
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