[原子力産業新聞] 2000年8月31日 第2052号 <6面> |
[理学電機] 微細構造解析装置を開発X線吸収分光法−常温・常圧で分析可能X 線分析装置の専門メーカー・理学電機 (志村晶社長、本社=東東都昭島市) は、東北大学大学院工学研究科の田路和幸教授と共同で、X 線吸収分光法を用いた一般研究室向けの X 線吸収微細構造解析装置「R-XAS」Looper (アールザスルーパー) を開発し、1日に販売を開始した。 同装置は、X 線源が移動する走査方式を採用、試料を固定したまま測定できるなど機能・操作性を重視し、小型化と低価絡を実現した。実験室レベルでの触媒の反応機構の解明や、電池材料の評価をはじめ半型体や超伝導体、強磁性体、アモルファス物質の研究などへの応用が期待されている。 X 線吸収分光法は、X 線が物質を通過する時に起こる吸収の割合を各元素に固有の特性吸収端付近のエネルギーで測定することで、物質の局部構遺を解明するもの。多結晶、非晶質など試料形態を問わず測定でき、他の分析手法に比べて大気中、常温、常圧での状態分析を行えるのが特長。主に結晶化が困難な物質に関して放射光など強力 X 線源施設で利用されているが、研究室でも放射光に近い条件をつくり測定できる装置が開発されてきた。しかし、従来の装置は5,000万円前後の価格帯と、取り扱いに高度な知識が必要なことから専門家レベルに止まっていた。 今回開発された「R-XAS」Looper は、X 線源が移動する走査方式を採用したほか、専用の新型 X 線発生装置を開発し、最大出力3kW のコンパクト設計を可能にした。本体幅120cm、奥行き80cmで、同社従来装置の50%の小型化を実現。価格は2,000万円から。初年度20台の販売を見込んでいる。
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