[原子力産業新聞] 2000年9月7日 第2053号 <1面>

[原産] 露アダモフ原子力大臣と懇談

FBRの積極的開発を強調

プーチン大統領とともに来日したアダモフ・ロシア原子力大臣は滞在中、精力的に原子力関係者と会談を行った。

5日午前には、同大臣はカシルスキー国際・対外経済協力局次長らと、日本原子力産業会議との懇談会に出席。西澤潤一原産会長をはじめ太田宏次電事連会長、都甲泰正サイクル機構理事長らと意見交換を図った。

会合の中でアダモフ大臣は、5月に今後50年間を見据えたロシアの原子力開発利用長期戦力を策定したことを紹介し、国内にある第一世代の原子炉の更新のため大型炉開発や FBR サイクルの確立を推進していくことの必要性や、固有安全炉の開発の重要性を指摘。高速炉については、今後数年かけて BN800 を開発した後、さらに安全性に優れた、窒化物燃料を用いる BREST300 を開発していく方針を確認した。

また、現在ロシア議会が審議中の法案が通過すれば、使用済み燃料のロシアへの返還や外国からの使用済み燃料貯蔵も可能になると語り、来年春の法案成立の可能性を示唆した。沿海州地域に原子力発電所を建設し送電するというアイディアもあらためて日本側に披露した。

アダモフ大臣は、同日午後、科学技術庁の大島理森長官を訪ね会談を行った。同大臣は大島長官に対し、BN800 を発展させたいと考えておりこのようなプロジェクトには政府同士での協力が必要だとして、日本からの協力を要請。あわせて、日ロ間の原子力協定の必要性についても言及した。


アダモフ大臣の訪問を受けた平沼赳夫通産大臣は5日の記者会見で、沿海州に原子力発電所を建設するというロシア側の提案に関して「国民のコンセンサスという問題もあるし、送電ロスという問題もある。採算性など検討すべき事がたくさんある」と述べ、慎重な姿勢を示した。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.
Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。