[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <1面>

[九州電力] 川内3号機増設で環境調査を申し入れ

150万kW級APWR、2010年代初頭に1基必要

九州電力は8日、川内原子力発電所3号機増設を検討するための環境調査の実施を、鹿児島県および川内市に正式申し入れた。鎌田迪貞九電社長が須賀龍郎鹿児島県知事を、宮武康夫副社長が森卓朗川内市長をそれぞれ訪問し、伝えた。増設するのは改良型加圧水型軽水炉 (APWR)1基で、出力は150万kW 級。完成すれば、わが国最大規模となる。


環境調査は(1)大気環境、水環境、海生生物、陸生生物などを調査する「環境影響調査」(2)敷地内および敷地外での地質構造や断層などを調査する「地質調査」(3)風向、風速などを調査する「気象調査」−の3種類で、期間について九電では、現在のところ現地調査および解析期間を含めて約3年を予定している。

九電はかねてより、エネルギーセキュリティおよび COP3 京都議定書に定められた温室効果ガス削減目標達成などの観点から、原子力を中心として自社電源のベストミックス推進の必要性を打ち出しており、2010年代の早い時期に原子力発電所1基が必要との方針を示していた。川内原子力発電所増設については、九電が96年9月に既設1、2号機北側の土地について、「増設可能」との結論をまとめており、今年6月には地元川内市議会の本会議で、「環境調査の早期実施を求める陳情」が採択されるなど、増設に向けての下地は着々と整っていた。

九電の申し出に対し、須賀鹿児島県知事からは、県議会や地元川内市をはじめとする周辺市町村の意向を見極めてから返答する旨回答が、また森川内市長からも、調査と増設は切り離して考え、県や国、隣接市町村の動向を見据えてから判断したいとの回答が寄せられたということだ。今後同増設計画は、地元の同意が得られ次第調査地点や方法をまとめた報告書が作成され、公告・縦覧の後に国の審査などを経て調査に入り、結果は報告書として作成されることとなる。


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