[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <1面>

[原子力部会] 高レベル処分法基本方針など決定

発生者責任を明確化

総合エネルギー調査会の原子力部会 (部会長・近藤駿介東大教授) は12日、第76回会合を開き、特定 (高レベル) 放射性廃棄物処分法の基本方針案および、最終処分計画案を決定した。

両案は、7月に開催された前回部会で審議にかけられた原案について、委員から出された意見と、先月18日までの期間で募集されたパブリックコメントに寄せられた意見をもとに加筆・修正などが行われたもので、今後は月内に原子力委員会および安全委に諮問された後、閣議決定されることになる。

両案は、パブリックコメントで原案に対して寄せられた意見が、その作成過程において論議済みのものが大半を占めたことなどから、特に内容的なものについては概ね原案通りのものとなり、修正は詳細部分にとどまった。具体的には、「発電用原子炉設置者の高レベル放射性廃棄物発生者責任を明記すべき」との意見が寄せられたことを受け、このような考え方は原案においても示されてはいるものの、この旨をより明確化するような方向で修正が行われるなどした。

この日開かれた会合ではこれに加え、今後の同部会の進め方についての議論も行われた。

原子力発電の成熟化、電力自由化の進展、省庁再編にともなう新たな原子力行政燃制といった原子力を巡る環境変化を踏まえ、今後は(1)技術基盤と安全基盤の関係(2)技術基盤の確保において今後重要となる要素の整理と対応(3)今後重要とされる技術開発の特定と、その実現に必要な具体的方策(4)原子力技術基盤を担う関係機関の、役割分担の明確化と連携のあり方(6)技術基盤の確保と、特に関連する安全基盤に関する項目 (原子力安全・保安部会への提言)−を「今後の検討項目」と定めるとともに、原子力発電の成熟化・低成長化、電力自由化といった厳しい状況下においても、高度な安全性の維持をしつつ、かつ高効率化を実現している欧米諸国の事例分析や、国内機関の現状把握、産官学の現状や技術移転事例の調査分析、現状および将来技術に対するニーズ調査を「当面の調査作業」と位層づけ、10月から来年1月までの間に3回の会合を開き、2月開催の第80回会合で報告書を取りまとめるとする案が、事務局から出された。

次回会合は10月下旬。同案に対して委員から出された意見をもとに修正されたものが示されるなどする予定。


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