[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <2面>

[サイクル機構] FBRサイクル実用化研究−第2期計画

第1期 「十分な評価」得る

核燃料サイクル開発機構は8日、大洗工学センターを拠点に進める高速増殖炉 (FBR) サイクルの実用化戦略研究の外部評価 (中間評価) を受け、「既存技術の改良や革新的技術を採用した幅広い技術選択肢の評価と経済性見通しの検討が行われており、十分に評価できる」などの結果を公表した。サイクル機構では、この評価を踏まえ、計画の柔軟性を持たせつつ、来年度からの第2期目の研究として2005年度を目処に、実用化候補の絞り込みに入る方針だ。2015年頃には最終的な実用 FBR 技術の具体化をめざす。

FBR サイクルの実用化戦略調査研究は、安全性を大前提に、軽水炉サイクルやその他の基幹電源と比肩する経済性を達成し得るよう、FBR サイクルが本来有する長所を最大限に活用した実用化像を抽出し、併せて将来の社会の多様なニーズに柔軟に対応できる開発戦略を提示することにより、FBR サイクルを将来の主要なエネルギー供給源として確立する技術体系を整備することを目的としている。

サイクル機構をはじめ、電力中央研究所、日本原子力研究所など、FBR 開発、要素技術開発等に知見を有する国内の研究機関がサイクル機構の大洗工学センターに結集して、広範な関連技術、あるいは革新的技術をフルにカバーし、そのなかから有望で実用化可能な技術パッケージを具体化しようという「オールジャパン方式」による研究開発プロジェクト。今回中間評価が行われた第1期 (1999年度〜2000年度) 研究では、国内外で蓄積された研究成果を基に、革新技術を採用した幅広い技術選択肢の検討評価を行い、有望な実用化候補概念を抽出する検討が行われた。検討範囲は酸化物や金属などの燃料形態、またナトリウムや鉛などの重金属などを冷却材に用いた場合のプラントシステムの検討、湿式あるいは乾式といった再処理方式を中心とした燃料サイクルシステムなど多岐にわたる。おおむねそれぞれの技術要素が有する特性をレビューし、来年度からスタートする第2期 (2001年度〜2005年度頃) 研究にあわせて重点的な技術課題の絞り込みに入りつつあるところ。第2期では、候補概念を比較評価するための概念設計や必要な工学試験、要素技術開発を行う計画で、実用化候補概念の絞り込み (複数) を行うとともに、必須の研究テーマを特定する予定。また運転再開が望まれる「もんじゅ」での研究開発成果等も加え、最終的には、2015年頃に、競争力のある FBR サイクル技術を提示することを目標としている。

一方、8日に同時公表された長寿命核種の分離変換技術の基礎・基盤に関する研究に対する外部の事前評価では、「目的・意義は明確であり、重要性も高い」との見解が示された一方で、実用化を評価するには十分でない初期段階にあるため「長期的なテーマとして着実に推進すべき」などと指摘された。こうした評価を踏まえ、サイクル機構では FBR サイクル実用化戦略研究とも連携する形で、5年ごと中間評価を得て、研究計画を見直しながら着実に進めることにした。

使用済み燃料に含まれる半減期が長い核種は、量的には少ないものの、長期間毒性、放射能レベルが保持されるため、これを何らかの方法で短寿命あるいは安定的な核種に変換する技術の開発が期待されている。その方法のひとつとして、FBR を運転して生じる高速中性子を利用する可能性が早くからいわれており、これまでに基礎的な研究が進められてきている。


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