[原子力産業新聞] 2000年9月21日 第2055号 <1面> |
[YGN] 日本にもネットワーク拠点若手技術者を核に日本の原子力界にも正式に「ヤングジェネレーション・ネットワーク (YGN)」が誕生する。原子力の研究開発や産業に携わる若手技術者を中心としたネットワーク作りの努力が実を結び、世代間の連携を強化し、所属機関にとらわれない情報や意見の交換などを目的とした「ヤングジェネレーション・ネットワーク」が、日本原子力学会のもとでの活動が今秋開催される同理事会で承認される見通しとなった。 海外では、すでに数年前からこうした若い世代の原子力技術者による活動が積極的に行われてきている。いち早く活動に乗り出したのは、欧州原子力学会に所属するヤングジェネレーションたちで、同学会が支援する形で欧州各地でセミナーや研修会を開催したり、機会をとらえては積極的に原子力に対する自らの主張を述べてきた。欧州各国は地理的な近さも手伝い、メンバー14か国間の交流が盛んで、ほかの地域に先行していた。これに続いて、米国でも若手研究者や学生が主体的に種々の活動を展開。最近では韓国でも同様の動きが加速している模様。 世界的に、原子力産業界や学会の重鎮も若手の意見を尊重する傾向があり、特に欧州などではマスコミや原子力反対を唱える環境団体もこうした若手原子力関係者の発言には耳を貸すことが多いという。 我が国でも、若手原子力関係者の有志が2〜3年前から自主的な会合を開き、講師を招いての勉強や、率直な意見交換などの地道な活動を継続的に行ってきていた。欧米で開催された国際会議に日本の YGN としての参加依頼が寄せられたが、組織的な対応ができずにいた。こうした中から日本版 YGN を発足させたいとの声が強まり、今春より設立に向けた活動を展開、今回の立ち上げにつながった。 11月にハーグで開催される COP6 の際にも、欧州の YGN を中心としたグループ「YGN インターナショナル」は環境問題への原子力発電の貢献を訴えるための活動を行う予定で、日本からもメンバーが協力する。 「YGN はただ原子力のためだけでなく多様な意見を論じる場としていきたい」と関係者は語る。世界の中で我が国の原子力開発利用の状況を考えれば、遅すぎた「ヤングジェネレーション・ネットワーク」の発足ともいえる。今後の活動が期待される。
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