[原子力産業新聞] 2000年9月21日 第2055号 <面> |
[COP6] 準備会合−正念場に立つ原子力CDM適用めぐり日米と欧州が対立気候変動枠組み条約第6回締約国会議 (COP6) の第2回公式準備会合が11日から15日にかけ、フランスのリヨンで開催された。今回の会合は、6月にボンで開催された第1回準備会合に続き、COP6 に向けての実務レベル協議で、COP6 における政治折衝のためのたたき台が作られた。合計で約4,000人が参加。日本からは電力関係者を含む非政府組織 (NGO) が政府関係者へのロビー等、活発な活動を展開した。 今回の会合で目立った交渉としては、特に(1)クリーン開発メカニズム (CDM) (2)条約遵守の問題−があげられる。CDM のうちシンク (植林等による温室効果ガスの吸収) に関しては、日本が3.6%の数値目標にこだわるあまり、EU や米国の数値から突出する結果となり、交渉で孤立化。また CDM 全体では、EU が、これに適用されるべきエネルギー・環境技術として「ポジティブリスト」を提案し、原子力を対象から除外している。一方、日米を中心とするアンブレラグループは、CDM のプロジェクトは技術供与国と授与国の2国間で決定されるべきと主張し、これと対立している。原子力の扱いに関しては、サウジアラビアをはじめとする産油国や島嶼諸国も否定的な態度を示している。一方、遵守問題では、罰則等の厳しい条件をつける欧米と、緩やかな制度を作ることで、京都議定書の早期発効を求める日ロの立場の相違が目立っている。 結果的に、国内努力を最大限に行うことで、COP3 で決定された数値目標を達成しようとする EU と、CO2排出権をめぐる市場メカニズムを利用することで達成を図ろうとする日米が対立する構図は継続したままで、途上国グループの出方も含め、COP6 に向け今後も複雑な交渉が予測される。 数か国・地域の原子力関係団体から構成される国際原子力フォーラムも、同準備会合開催にあわせて、各国政府代表団へ積極的にロビー活動を展開したほか、環境団体との対話も行った一方で、会議最終日には大規模な反原子力のデモにより会場への道路が封鎖されるなど、原子力の苦しい立場を象徴するような出来事もみられた。
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