[原子力産業新聞] 2000年9月21日 第2055号 <3面> |
[欧州委員会] 原発の安全促進で新戦略中・東欧、旧ソ連諸国対象支援プロジェクトは直接契約欧州連合 (EU) の執行機関である欧州委員会 (EC) は6日、EU への加盟を希望する中・東欧諸国および旧ソ連諸国 (NIS) に立地する原子力発電所の安全性を向上させる特別戦略と、これら諸国への支援合理化を目指した新たな提案を採択した。 これらは EU のC.パッテン外交委員とG.ベルハーゲン拡大 EU 委員が作成したもの。原子力安全向上支援分野での EC の基本的な目標は、対象諸国において(1)原子力発電所の運転安全性と規制システムを改善(2)合理的なコストで国際社会並みの安全レベル達成が不可能な原子炉を出来るだけ早急に閉鎖・廃止するとともに、それらを代替電源で更新し、一層効率的なエネルギー利用に切り換える(3)原子力発電所の設計を最新式に改造する−などだ。 これまでの実績として EC は、安全性改善が難しい原子炉を閉鎖させることでリトアニア、ブルガリア、スロバキアから言質を得たほか、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所における諸問題解決に貢献したと強調。ブルガリアおよび NIS 諸国の原子炉14基の現地で支援活動を実施したと報告した。EC は今後、リトアニアのイグナリナ原子力発電所の2基すべて、スロバキアのボフニチェ発電所4基のうちの2基、ブルガリアのコズロドイ発電所6基のうち2基を実際に閉鎖する作業や、それ以外の原子炉の安全性向上に焦点を当てていく。 NIS 諸国に対しては規制当局と運転員の安全文化向上で支援を継続していくが、ロシアでも原子力発電の必要性はこれまで通り高いと見込まれている。このため、双方が同意した原子力安全・エネルギー政策に沿って同国の原子炉安全レベルを引き上げることを目標に、安全性改善作業に要するコストを欧州原子力共同体 (ユーラトム) のローンで賄えるよう配慮するなど、ロシア当局との一層緊密な協力関係構築にもカを注いでいく考えだ。 これらの具体例としては、安全設計上の問題が指摘されている第一世代の VVER を少なくとも、1基閉鎖することに繋がる最新型100万kW 級 PWR (カリーニン 3 号機) の完成支援資金貸付けや、チェルノブイリ発電所の石棺改修と1〜3号機の廃止措置支援がある。ウクライナについてはさらに、チェルノブイリ発電所閉鎖に伴う95年の G7 諸国との了解覚え書きに沿って、代替炉 (フメルニツキ 2 号機とロブノ 4 号機)が国際レベルの安全性を備えた形で完成されるよう支援してい<としている。 新提案ではまた、TACIS (対独立国家共同体技術援助計画) および PHARE (東欧援助緊急時計画) を通じて EU が行ってきた支援活動全般を見直しした結果、EU 支援プロジェクトの入札と契約に関する現行規則の改正を勧告している。これまでは入札において適性な競争原理が働くよう設定していたが、安全分野の技術支援や機器を供給できる潜在的な業者の数は非常に限られていた。今後の現地支援プロジェクトでは、代理機関を通さず直接、対象国の電力会社や技術支援団体、原子力安全当局と契約を結ぶことを提案。現地支援の複雑さを考慮し、年ごとに契約を更改するのではなく、複数年単位での締結が望ましいと指摘している。
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